つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

彼岸では明るい声で歌って

 いやー、キャンディーズのスーちゃんの振り絞った声での遺言には泣かされました。自らが病床にありながら、東日本大震災で亡くなった方の冥福を祈り、やがて彼岸に行ったら、その人たちを慰めてあげたいなどと、並みの人間では言えたものではない。そういう意味では、天使のような彼女がますます好きになってしまいました。
 キャンディーズは小生らの年代より若干若い世代、つまり40歳後半から50歳代後半の人にはたぶん忘れられないアイドルだったと思います。今さらながら、キャンディーズのことを聞けば、3人で活動していたのはたった5年半とか。そんな短期間なのに同世代人には強烈な印象を残しているのは、彼女らに何か特別なものが備わっていたからだと思います。
 改めてあの3人の魅力を考えると、きょうも内人と話をしたのですが、少しも男性に媚びるようないやらしさ、嫌味がない、健康なお嬢さんの清潔感、すがすがしさがいっぱいという感じがありました。そういう印象を与えたのは、きっと彼女らの生き方が芸能界というある意味泥沼のような世界に浸りこむことなく、気高さを堅持してきたからだと思います。
 芸能界の3人組であれば、互いに嫉妬とさげすみで仲間割れをするのが普通でしょうが、きょうのスーちゃんの遺言にも、蘭ちゃん、ミキさんの弔辞にも「好きです」「愛してる」という言葉出てきてちょっとびっくりしました。仲違いして別れたグループであれば、同性同士でこの言葉は出てこないでしょう。解散しても、ずっといい関係が続いていたのだと思います。
 一度別れたグループがよく再結成され、昔の名前で出ていますという感じで公演して回るケースがありますが、キャンディーズに限ってはありませんでした。それは、この3人が互いに強い好感、友情を持っていたがゆえに、それを汚すような再結成での活動、再び利害や複雑な感情が絡み合う芸能界の泥沼に戻りたくなかったのでしょう。そうとしか思えません。
 田中好子さん、彼岸では、どうか「もうすぐ春ですね」などと明るい声で歌って、大震災で亡くなった方々を慰めてあげてください。あるいは天は、そのためにあなたを召したのかも知れません。
 下の写真は、前回に続き真間山弘法寺のしだれ桜。