つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

独伊の原発忌避は一国平和主義だ

 思えば、おかしな話です。ドイツとイタリアは国民の総意で今後、原発に頼らないことを決めました。スイスも同じようです。でも、隣国のフランスやスウェーデンは相変わらず、原発に依存することにしています。統一経済体であるEUの諸国間でこうした齟齬が生じていることを、彼らは別段おかしなことと思わないのでしょうか。”一国平和主義”で安全は保持できると思っているのでしょうか。
 欧州はそれほど広くありません。しかも陸続き。もし、フランスで原発事故が起きれば、その被害は必ずや周辺国のドイツやイタリアにも及ぶでしょう。自国は原発など関係ないから勘弁してくれと言っても、風や空気が流れ込んでくるのを防ぐことはできません。安全を考えれば、少なくとも原発問題は、周辺国との協調、できればEU全体で話し合うことが必要でしょう。一国で決定しても単なる空念仏であり、意味がないように思います。
 さらにおかしいことに、ドイツもイタリアも現在、自国の電力を国内だけで賄えず、フランスに頼っているというのです。原発いやだとおっしゃりながら、ちゃっかりと原発の恩に浴しているのです。少なくとも、彼らは原発ノーと言うなら、原発なしの生産、生活規模に切り替えるプログラムを示すべきです。あるいは代替エネルギーを真剣に考え、その代替エネルギーで現在の需要は賄えると判断した時点で原発の是非を言うべきでしょう。
 ドイツにしろ、イタリアにしろ、そんな様子は見られません。自分のところで「汚いもの」を作るのはいやだ、でも必要悪ながら、やはり必要なのだから他国に依存するという感じです。非常に利己的であり、なにやら自国で処理に困った産業廃棄物を外国に持ち込む構図に似ています。先進国にありがちな、「臭いものにはふた」式の感情論先行の決定と言わざるを得ません。
 世の中にはこうした感情論だけで、現実を直視しない人は数多いようです。ジュゴンを守ることが大事だからと言って極東の安全保障など見向きもしない人、周辺の核保有国に核廃棄するよう一切働きかけずに、自国だけに文句を言うパワーバランス無視の人など。もっと冷静に国際政治、国際的な視点に立って欲しいですね。
 下の写真は、上海で会ったオバマ米大統領に似た人。仲間からも「オバマオバマ」と言って冷やかされていました。彼は、上海市郊外のある区の元役人で、今は”下海”して企業家になっています。