つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国のトラたたきの標的は

 中国では、汚職まみれの薄熙来元政治局委員の無期懲役判決が出、一件落着の感じを世間的に与えていますが、実はそうではなく、中国ウォッチャーにとって最大の関心事がまだあります。それは、昨年初め、薄熙来とともに、習近平追い落としのクーデター計画を練ったとされる周永康元政治局常務委員の去就です。
 周永康に党中央規律検査委の調査の手が延びていることはすでに広く知られたことであり、彼自身、部内的にもう十分取り調べを受けているようだし、財産も差し押さえられているようです。その意味では、実質的にもう彼は党人としてばかりでなく、世間的な立場もなくなっています。
 ですから、今さら元政治局常務委員まで訴追の手を伸ばす必要はないんじゃないかと見る人がいます。なるほど、共産党ヒエラルキーの頂点に位置する政治局常務委員会メンバー(元メンバーを含む)への刑事訴追は尋常ならざることで、中国の権力機構、党の指導性を弱める印象を与える危険性を秘めています。
 しかし、小生はそれでも逮捕はありうると見ています。香港情報によれば、①孟建柱政法委員会書記をトップにした「周永康調査組」がすでに成立している、②石油閥関係者だけでなく、政法委員会書記だった周永康と関係が深かった曹建明最高検察長と李東生公安部副部長も調べを受けている、③夏の北戴河会議で、周永康訴追の了解があり、これまで周の引き立て役だった江沢民も大局的見地から訴追に同意した−などの話があります。
 また、周永康の28歳下の妻は、江沢民国家主席の妻の姪なのですが、この女性が最近、周に離婚を申し込んだとの説があります。つまり、江沢民が周事件への巻き込まれを恐れて周との姻戚関係を絶つという挙に出ています。さらに、周永康の一人息子の周斌は海外逃亡説が流れていましたが、どうも今、北京にいるらしく、官制メディアが、周斌が自宅軟禁状態に置かれていることを流しています。息子まで検査委の調査が行って、本人は何もないとはちょっと考えにくいです。
 習近平は「悪者はハエもトラもたたく」と言っています。単純な読みですが、そう言っている手前、膨大な石油利権を握ってきて、自らに弓引く計画まで立てた危険極まりない人間を許すでしょうか。見せしめのためにも、刑事訴追をする感じがします。トラとは政治局委員の薄熙来だけではないでしょう。世間を納得させるためにはもっと上のランクの(だった)人も標的にしているはずだと思います。
 下の写真は、8日、ホテル・オークラで開かれた台湾・双十節の祝賀パーティー風景。故宮博物院をかたどった氷の彫刻がありました。