つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

安倍さんはついている

 今日のNHKスペシャル「ドキュメント消費増税」はなかなか見応えがありました。小生は、安倍政権が昨年の政権誕生のハナから、すんなりと2014年度からの消費税の3%アップを考えていたと思っていましたが、今年10月1日の公式発表まで結構悩みがあり、経済指標にかなり気を遣っていたということがこの番組でよく分かりました。
 今年4−6月期の実質成長率の速報値が8月初めに、対前年比で2・6%と出ました。この時、安倍首相やその周辺はかなりがっかりしたようです。3%は超えると思っていたのですから。しかし、景気にプラス効果となるオリンピックの東京開催が決まり、4−6月期の成長率が結局、季節調整込みで3.8%となったときに首相もほっとして、やっと3ポイント上げの決断ができたと伝えていました。
 確かに、1990年半ばの橋本内閣では、消費税を3%から5%へとたった2ポイント上げただけでかなり景気を冷え込ませ、その年夏の参院選自民党は負け、橋本内閣はつぶれてしまいました。テレビで見ると、橋本氏自身、その時の決断をのちのち反省しているのです。ですから、安倍首相は橋本氏の轍を踏んではならない、つまり、今、途に就いたばかりのアベノミクスの流れを壊したくないと考えたことでしょう。
 橋本内閣の時のように、消費税上げ後すぐに国政選挙はありませんが、毎度毎度内閣支持率なるものが発表され、首相の人気度が図られます。来年1−3月期に消費税上げ前の駆け込み需要があるので、その反動で4−6月期は明らかに消費は落ちることは避けられませんが、そのまま来年いっぱい落ち込んだままであったら、秋ごろから安倍首相の人気も引きずられて落ちてしまうでしょう。
 小生は、安倍政権の最終的な政治実現目標は憲法改正だと思っています。それは少なくとも3年、欲を言えば5年のスパンで考えなければならないことですから、ある意味、消費税ごときで首相就任期間を縮められてはかなわないと思っていることでしょう。ですから、安倍さんにとって、人気を落とさないよう、消費税上げも慎重にも慎重でなければならないのです。
 じゃー、消費税など上げなければ、そんな苦労もしないで済みのにと、何も考えないノー天気な国民は思うでしょうが、もしこの時点で消費税を上げなければ逆に国際公約を反古にしたことで、日本へ債券や円の売り浴びせが起こり、これはまた経済的な苦境に立たされます。国の借入金総額が1000兆円を超えたのであれば、増税を計ることは避けられないのです。
 でも、安倍さんはついています。今後7年間のオリンピック景気を背景にして、来年度予算でも、その施設関連の建設を華々しく打ち上げることができるので、国民には不景気感を与えないで済みそうです。さらに、5兆円の景気刺激策や、法人税関連の減税も効果を上げると思いますので、橋本内閣と同じようにはならないでしょう。
 下の写真は、ヤンゴン市内の路地裏にあった魚菜市場。