つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

野党の主張はまたまた”毛針”ですか

 参院選が公示されました。衆参ダブル選かと思っていましたが、そうなりませんでした。そのためか、テレビのニュース、ワイドショーなどの取り上げ方も地味で、若干盛り上がりに欠ける感じがします。政権選択で総選挙(衆院選)をする場合には、やはり「大義」が必要でしょう。安倍首相は内心ダブル選を目指し、またまた消費税アップの延期で信を問おうと思ったようですが、現時点での経済指標がそれほど悪くないので、それは無理。その他、大衆受けする大義が見つけられなかったのです。

 参院選は3年おきの定例の選挙。それでも、それなりに争点は必要ですが、与野党ともなかなか見つけられません。自民党は、政権運営の良さによる好景気を主張。それに対し、野党側は今年10月の消費税10%上げに反対し、年金不足での2000万円貯蓄必要との金融庁審議会報告で政権、与党側を追及する構えです。ただ、これでは、手垢の付いた古証文をいじくり回しているようで、あまり庶民受けはしないでしょう。

 安倍政権は今後長くてもあと2年なんですから、本来やりたくてやり残したことを訴えるのが筋。つまり、憲法改正を強く打ち出すべきなのでしょう。が、そうなっていないのは、今回、政権選択の衆院選でなく参院選であることや、国民のまだ過半数は「憲法はこのままでいい」という世論調査結果が出ていることなどを踏まえて、憲法改正を強く打ち出すのはプラスにならないと判断したのでしょう。いかにもだらしない。安倍首相は、憲法改正が爺さん〈岸信介)以来の宿願と思うなら、政権最後にはもっと本腰を入れろと言いたくなります。

 それはともかく、政党討論会で野党側の主張を聞いていると、「消費税は上げるな。だが、福祉は充実させろ」という相変わらず論理性のない、大衆迎合的言い分で、がっかりします。こんな主張で本当に世間を納得させられると思っているのか。その昔、自民党の派閥領袖にもなった渡辺美智雄という有力議員が野党のこういう主張を「毛針の類い」と言っていましたが、まさに”疑似のえさ”にしか見えません。

 国家財政など分からない庶民であっても、収入と支出のバランスは考えます。入りを抑えて、出を増やすなどという芸当は想像できません。政府はすでに保育園、幼稚園の無償化を制度化しました。その財源は、消費税アップ分で補うことなっています。本来なら秋の消費税10%化を止めたら幼保無償化も取りやめになってしまうが、それでも構わないということか。止めたら、幼い子供を持つ親が怒るのは間違いないでしょう。

 「消費税は上げるな。福祉は充実」と相変わらずの毛針主張の政党が、消費税の代わりの有効な財源として持ち出してくるのが金持ち、大企業への更なる課税。でも、そんなことをしたら、金持ち、大企業は日本にいる、日本に本社を置く理由がありませんから、皆海外に出て行ってしまいます。昔、香港で駐在記者をしていた時に、日本の金持ちが香港に逃げていたケースを目撃しました。香港は個人所得税が安いので、彼らは1年のうち半分以上香港に滞在、日本での税申告を逃れていました。

 フランスでオランド社会党政権ができ、個人所得税を最高75%にまで上げたところ、多くの富裕層が隣国ベルギーやロシアなどに逃げ出しました。それほど昔の話ではありまぜん。金持ち、大企業への重課税というのは、庶民にとって耳障りがいいのですが、所詮、絵に描いたモチに過ぎません、金の卵を産む鶏を殺してしまう行為に等しいのです。

 小生が比較的好きな政党である「維新の会」も「消費増税反対」などと主張しているのにびっくりしました。同党がチープガバメントを目指す新自由主義政党であるなら、その主張も理解できます。ただ、彼らはチープガバメント、ローコスト・シビルサービスを目指していることを強く打ち出そうとしません。もっと自らの主張に自信を持ってもいいんじゃないですか。米国で共和党が政権を取っているように、新自由主義には一定の支持者がいるものです。

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上の写真は、群馬県白根山系にある万座温泉プリンスホテルの露天風呂。