つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

野党統一名簿作成の愚かさ

 民進党は今夏の参院選比例区で、野党統一名簿を作ることを構想し、社民、生活両党に提案したと言います。民進の言い分は、なるべく死に票をなくしたいということですが、弱小政党を抱き込んでどれだけメリットがあるのか、また比例代表の候補者、順位をどうするのかでもめるのは必至。選挙は近いのに、まだ紆余曲折があることは間違いありません。
 単純に考えるに、政策の違う者同士が集まった統一名簿を作っても、有権者は困ってしまうはずです。民進党民主党)は政権を取っていた時代に野田首相が消費税上げを推進し、今でも賛成している党ですが、社民、生活などは一貫して反対しています。参院選の焦点になる消費税上げ回避問題でも水と油の関係です。
 民進党が反安倍政権の旗印として一番歩調を合わせたい安全保障政策に関しても、民進、社民ではかなりの違いがあります。民進の中には自民党の考えに近い人もいるし、基本的に国家の安全確保には前向きです。それに対し、社民は「非武装中立」を標榜し、武器を持つことはなんでも反対、いや自衛隊の存在すら認めない政党です。どう折り合うをつけるのか、ちょっと想像しにくいですね。
 第一、統一名簿に載った候補者自身が困ってしまうでしょう。選挙運動中、あちらの支持団体に言ったら「やっぱり消費税上げは必要」、こちらに来たら「いや、消費税は据え置きに」などとその場その場で言うことを変えなければなりません。あたかもイソップ物語に出てくるコウモリのごとく振る舞わざるを得ず、政治家としての自尊心はずたずたにされ、自分自身が嫌になってしまうかも。
 仄聞するところによると、民進党最大支持団体の連合内では、一人選挙区の野党統一候補とか統一名簿作りに対し意見の対立があり、一部の労連が連合を脱退する動きすらあると言います。それは当然でしょう。かつての同盟系労組は、社民、共産などと誼みを通じた候補者に絶対投票したくないでしょうから、「連合本部がそんなことを要求するなら、連合から抜ける」という態度になるのは自然です。
 連合が分裂し、旧同盟系の労連が抜けたら、それこそ民進党の屋台骨が揺さぶられ、結局目先の小さな「ブドウ」を取ろうとして、ブドウ棚全部を壊してしまうような事態になりかねません。実は、その方向は自民党が望む方向でもあるし、共産党の目指す方向でもあるのです。なぜなら、労組、労連の中には確固な共産党支持団体があり、彼らがこれ幸いに連合系組織を切り崩し、勢力拡大を図ろうとするでしょうから。
 民進党岡田代表は、官僚出身なのに意外にも政治音痴でしたね。野党統一候補、名簿のメリット、デメリットの分析がぜんぜんできていないようです。小生は記者時代、労働省記者クラブ担当として労働組合運動を取材し、国労分裂なども見てきました。その元労働担当記者から言わせると、岡田代表は労働運動の本質、政治との関係が分かっていない。余計なお世話かも知れませんが、民進党はなるべく早く代表、幹事長を交代させた方がいいでしょう。

 上の写真は、5月の南房総旅行中、鋸山で見たチワワ。美人の女性に抱かれていました。