つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

自民敗北でも保守内の移動に過ぎない

 先週末の都議会選挙で、自民党が失った議席数が小生の予想をはるかに越えた数であったことにまず驚きました。ただ、来年にも予想される衆院選挙を見通すと、民進党共産党とも大きく票を伸ばしていません。自民党への批判票は同じ保守系地域政党都民ファーストの会に流れただけで、それほど悲観するものではありません。
 自民党議席が、前回の59から23になるとは恐れ入りました。ボス支配の都議会自民党への反発のほかに、国政レベルでの政権運営に対し不快感を持つ人が示した結果だと思います。江戸の仇を長崎で討つという感じでしょうか。マスメディアは、憲法改正提起、いわゆる共謀罪の強硬成立、もり・かけ(森友、加計学園)問題、2回生議員の不祥事などいろいろ挙げていました。
 この中でも、何が一番影響を与えたかですが、内人の香港時代の友人グループの間では、豊田真由子議員の暴言問題が大きかったとの見方で一致したようです。小生もそう思います。「このハゲ。違うだろう」とか「豊田真由子様に…と言うわけ」などという彼女の傍若無人な発言が再三テレビのワイドショーに登場し、主婦たちの耳に強く残りました。
 耳から入る印象はとりわけ強烈です。豊田発言を聞くと、有権者はすなわち自民党自体の”横暴さ”を象徴していると錯覚し、拒否反応を示したようです。もり・かけ問題などと言っても、保守的なほとんどの層には激しい反自民の感情を起こさせないものです。それが証拠に、もり・かけ問題や憲法改正提起に反発していた民進党は5→3へ減。共産党は17→19の増となったが、民進、共産の数はいってこいの状態で、プラスはないのです。
 要するに、反自民の票は都民ファーストに流れたのです。小池百合子都知事がかつて自民党員であって、憲法改正に賛成していた保守政治家という観点に立てば、今回の都議選は保守層内の票の移動でしかない。ということは、大多数の有権者は国政レベルで、安倍政権が掲げた憲法改正や岩盤規制の穴開け、さらには経済政策に反対というわけではないのです。
 繰り返しますが、今回の選挙結果は決して国政での自民党の政策への反発ではなく、阿呆な一部議員への不快感表示、さらには小池都知事に冷たく対応した都議会の老齢自民党議員への反発に過ぎなかった。だから、批判票は民進、共産に流れず、都民ファに行ったと思います。都民の大多数が保守的であるという点は揺るぎないのです。
 そういう視点に立つと、共産党は確固たるレーゾンデトルを持っているので一定支持者を獲得し続けるでしょうが、中途半端な民進党はそれがないだけに、ますます先細り。共産党と組むなどというのは、あくまで野党に甘んじると宣言しているようなもので、伸びる雰囲気はまったく感じられません。
 全国的に見ても、大多数の有権者自民党以外の保守的政党を欲している傾向にありますから、今後、自民党と競って政権選択肢を与えくれそうな新党が来年衆院選までに出てくる可能性が大です。

 上の写真は、銀座のバーでの風景。歌っているのはここのママさんで、われわれの同人誌の仲間でもあります。