つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

クーデターあっても最後は民主主義で

 タイという国について巷間言われているのは、仏教徒特有の温厚な性格で、日本人とは非常にフィーリングが合う国民性であるとのこと。小生も観光やビジネスで何度も行っていますが、確かに、現地でビジネス上の相手、あるいはタクシー、通訳の人など小生とかかわった人を見ると、そういう感じを持ちます。
 小生が親しくなって、行くたびに指名していたタクシードライバーは、街中で王様の肖像画を見たり、仏教寺院に遭遇したりすると、運転中でも両手を合わせ、祈っていました。危なくてしょうがないのですが、これも王室や仏教への敬虔さを表すものなのだから、致し方ないことでしょう。でも、政治状況を見ると、いつも各派が対立、混乱しているんですね。いったいどちらが本当のタイなんでしょうか。
 赤色シャツ(地方、農民派)と黄色シャツ(サラリーマン、自営業の都市中間層)間の闘争、さらにはそれぞれを支持母体とするタクシン、インラック両元首相系のタイ貢献党と、アピシット元首相、スティープ元副首相系の民主党派との対立が続いています。それが最近、憲法裁判所によってインラック首相が解任され、これに反対する勢力との話し合いが不調に終わったため、とうとう軍部が出てきてしまいました。
 タイの軍事クーデターはそう珍しいことではなく、雑誌によれば、タイが王政を離れ、立憲君主国になった1932年から、すでに今回のケースまで少なくとも21回の軍事クーデターがあったというのです。最近でも2006年に起きており、8年ぶりのこと。でも、よくよく考えれば、東南アジアでも欧米の植民地から逃れ、民主主義の歴史も古いこの国がどうしてこう何度も軍部が出てくるような仕儀になるのか、不思議でなりません。
 インラック、赤シャツ派はあくまで総選挙での政治決着を目指し、スティープ、黄シャツ派は「まず政治改革が先だ」と主張し、総選挙をボイコットしています。冷静に考えれば、やはり民主主義の根幹である総選挙をするべきなのだろうと思います。まず、「…が先だ」などと言うのは、劣勢であるがゆえの引き伸ばしや破壊工作の方便にすぎません。
 いずれにせよ、軍部が出てきてしまいました。軍は王室の代理人ですから、どちらに味方すると公には言えませんが、軍はどちらかと言えば、黄シャツ派に近く、恐らく民主党寄りの動きをするでしょう。前回2006年のクーデターのあとも、総選挙でタクシン派が勝ったものの、2年後に民主党政権ができています。
 総選挙をすれば、タクシン派は強いです。ですから、今回、軍はいきなり総選挙をせずに、民主党系の内閣を作り、次回総選挙までにがっちり反タクシンの体制を固めてしまうことになりそうです。タクシン派には汚職が指摘されており、問題も多いので、これがフレームアップされるかも知れません。
 でも、民主主義の国に生まれ、育った人間からすると、やはり民主主義の原点である総選挙の結果を第一とし、事前にその公平性は確保されるべきだと思います。

 上の写真は、秋田県の観光地、仙北市角館の武家屋敷の一角。