つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

小笠原をミスチーフ礁の二の舞にさせるな

 今、小笠原諸島付近に、かなりの数の中国漁船が集結しています。乱獲が禁止されている赤サンゴを採取しているとのこと。中国では金持ちが自宅に赤サンゴを飾るのを好むらしく、数千万円の高値がつくものもあると言います。ですから、一攫千金を夢見て漁民が危険を顧みず、はるばる太平洋の沖合までやってくるのは分かるような気がします。
 でも、自然保護の観点からすると、乱獲は好ましくありませんし、第一、日本人からすると排他的経済水域内に他国の船舶が堂々と入り込んで不法行為を働くのをじっと見ているのは実に業腹です。さらに心配なのは、この漁民が突然、日本の領土である小笠原諸島の島に上陸し、領土紛争の当事者に化ける恐れもあることです。
 1990年代初頭、フィリピンから米軍がいなくなってまもなくのこと。パラワン諸島沖にあるミスチーフ礁はフィリピンが実効支配していましたが、ある時、中国の漁民が暴風雨の緊急避難、あるいは航海中の休憩地点だかの理由で上陸を求めてきました。フィリピン政府は人道上の立場から、これを許可しました。人情ある国なんですね。
 しかし、モンスーン時期が去って、フィリピン側が改めて同岩礁を監視したところ、岩礁には中国の施設ががっちりできており、漁民だか兵隊だか知らない人たちが常駐している状態だったのです。今では岩礁全体が立派な要塞となっており、ヘリコプターも離着陸できるサイトもあるようです。フィリピンにとっては、情けが仇となって返されたわけです。
 中国は漁民と民兵が混然一体となっています。あるいは正規兵も混じっているかも知れません。ですから、漁民だと思って上陸など許すと、そこを長期に占拠され、いつの間にか「中国固有の領土」などとされてしまいます。小笠原諸島にも少なからず無人島があり、そういうところに入り込んでくる可能性もあります。
 今回、太田昭宏国土交通大臣ミスチーフ礁の教訓を汲んだためか、台風が来て中国「漁船」が避難上陸を求めて来ても応じないことを明言しました。早々と方針を決めたことはいいことです。でも、実効が上げられるほどの十分な態勢を取っているのかどうかが心配です。多くの無人島の隅々まで上陸を拒否する態勢ができているのでしょうか。口だけでは何でも言えます。必要なのは実行力です。

 上の写真は、船橋市のマンションの一角で見た紅葉の木。1本だけ魅力的に色づいていました。