つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

山の絶壁上展望スペースに柵は必要ない

 昨日から今日にかけて紅葉を見に群馬県と埼玉県に行っていました。群馬県では、長野県境にある荒船山(標高1356メートル)に登山。登山口までの自動車道はきれいな紅葉でしたが、登山口から頂上にかけてはすでに木は落葉して坊主頭になっていました。ですから、息を切らせた登山時には紅葉が楽しめない状態。2週間前に来ていたら、いい風景が楽しめただろうと考えたら、少し残念な気分になりました。
 荒船山と言えば、あの人気漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人氏が2009年9月に絶壁上から転落し、事故死したところです。標高は高くないのですが、北側に百メートル以上の絶壁を持っていて、上から覗ける状態になっています(実際は怖くて近づけない)。臼井氏がどうして遭難したのかは不明ですが、確かに柵はないので、自己責任で下の壁を見ようと近づけば、かなり危険です。
 この絶壁の前は石畳になっているので、登山者はみなこの辺りで休憩し、食事を取るか、寝転がります。北側には活火山の浅間山も見えて、かなり眺望もいいのです。ある若者たちのグループは、ガスコンロで鍋物したり、アルコールも飲んでいたりして結構絶壁近くではしゃいでいました。眺望と危険が同居しているので、悪騒ぎをしなければいいがと老婆心ながら思いました。
 臼井氏の事故のあと、ワイドショーか何かの番組で、「百メートル以上の落差のある絶壁前の展望スペースであれば、柵が必要なのではないか」「いや要らない」いう点で論争していました。登山好きの多くは、「自然を大事にするなら、柵などない方がいい」と主張していました。小生も、登山は自己責任であり、ハイヒール女性も行くような行楽地ではないので、柵は必要ないと思っています。
 もちろん登山道には、危険を最小限に抑え、登りやすくするという観点から、場所によって鎖やロープ、はしごなどは必要でしょう。でも、展望ポイントでは柵など要りませんね。怖ければ、近寄らなければいいのですから。まさか転落して死亡した遺族が、当該の市町村に対し、「柵がないので転落した」などと損害賠償を請求することもないでしょう。
 この荒船山、絶壁を持っているので、別の場所から見ると格好いい山なのですが、残念ながら頂上が真っ平でピークと呼べるような高みがないのが欠点です。ピークがない分、達成感がありません。それが玉にきずです。


 上の写真は、荒船山の絶壁の一部と絶壁前の石畳に立つ小生。小生の後ろに絶壁があるが、オーバーハングしている状態なので、近づいて覗きこまない限り絶壁は見られない。覗きこむのは命がけです。