つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

御嶽山噴火、 ”好条件”が重なった不幸

 その昔、通信社の社会部にいたころ、もう35年以上も前ですが、一年先輩に国立大学の理学部卒業の人がいました。彼は北海道の有珠山が噴火したとき、デスクに対し、「噴火なんで地球が生きている証拠。ごく普通の自然現象であり、取材する意味がありません」と強弁していました。文科系出身の小生などは「なーるほど」と思ったりして、それが今でも強烈な印象として残っています。 
 確かに、地震や噴火はある意味、地球物理学的には当たり前の現象なんですね。でも、それによって多くの犠牲者が出たり、人間の活動に大きな影響を与えれば、それはそれなりにビッグニュースであることに違いなく、取材する必要がないという論拠にならないと思います。今回、木曽の御嶽山が突然噴火し、多数の犠牲者が出たために、各メディアの取材態勢も大規模になっているようです。
 小生は御嶽山に登ったことはありませんが、ふもとの王滝村でかつて大規模地震が発生し(これも30年くらい前)現地取材した際、遠くから眺めたことがあります。百名山に数えられる美しい山ですし、聞くところによれば、2000メートル超までロープウェイで登れ、あと3、4時間でピークに達することができるとのこと。北アルプス乗鞍岳と同様お手軽に登れる3000メートル超の山なので、人気があるのは当然です。
 それに今回の噴火時、一年で一番山容の景色が美しい紅葉時、週末の土曜日、そのうえ昼飯時と、さまざまな条件が重なって登山客が山頂付近に集まりやすい時間でした。そんな時を狙いすましたかのような突然の神様の悪行でした。まあ、自然が相手では恨むこともできませんが、山好きの小生などからすると、ショックです。やはり、美しさとはいつも怖さと裏腹の関係にあるのだということを再認識させられました。
 以前、活火山で有名な浅間山に登ったことがありますが、ピーク付近は硫黄性の水蒸気が上がっており、立ち入り禁止。でも、小生はその禁止エリア内に入り、火口をのぞいてみました。もし、こんな時に突然大噴火が起きたら、もう生きては帰れないでしょうね。登山ではいつも、手足のすりむきに備えての救急バン、マーキュロなどの最低限の医薬品、ロープは持って行きますが、これからは噴火に備えてのマスク、携帯酸素なども必要なのかも知れません。

 上の写真は、母校の高校正門前で撮った一枚。先週末、同窓会開催を機に、母校見学会も併せて開かれたのですが、全面改築されたので校舎に昔の面影はなく、わずかに正門の門柱とそこに至る100メートルほどの坂だけが40年前の記憶を蘇らせてくれました。