つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

御嶽山噴火は提訴になじむのか

 長野、岐阜県の県境に位置する御嶽山(標高 3067m)が2014年9月27日の昼ごろ、突然水蒸気爆発を起こし、登山者ら58人が巻き込まれて死亡しました。想像を絶する痛ましい事故でしたが、最近、この事故の遺族が「当時、気象庁が噴火警戒レベルを平常の1としていたため、多くの登山客は安心して登った。火山性微動が続いていたのだから、警戒レベルをもっと上げるべきだった。そうすれば多くは死なずに済んだはずだ」との理由から、国と長野県を相手取って提訴しました。
 噴火時、御嶽山はちょうど紅葉の真っ盛り、しかも日曜日の昼時ということで、頂上付近では景色を見ながら弁当を食べたいという人が多く集まっていました。本当に悪魔が呪ったようなバッドタイミングの噴火でした。小生も山登りが好きで、浅間山安達太良山といった活火山に登ったことがあります。ですから、御嶽山噴火は他人事でなく、登山にはこんなリスクもあるんだと改めて感慨深いものがありました。
 でも、もし自分の身内がこの噴火に巻き込まれたとしても、提訴団に加わっていたかどうか。小生は基本的に、登山やスキューバダイビングなどリスクの高いことをするなら、自分でそのリスクを取らなくてはならないという考え方を持っているからです。何もかも、他に責任を転嫁するのは望まないという考えを持っているからです。
 2009年9月11日に「クレヨンしんちゃん」原作者の臼井儀人さんが群馬、長野県境にある荒船山に登山し、垂直の崖の上から転落して死亡しました。そのとき、一部の人からは「危険なところには手すりや柵を設けるべきだ」との意見も出ました。でも小生は、登山は観光地ではないのですから、崖上にわざわざ柵を作る必要はないと思っていました。
 正規の登山道になっているところはロープ、鎖、階段などの最小限の補助具が必要でしょう。ですが、そのほかは基本的にリスクヘッジは要らないと思います。危険だと思う人はそこに近づかなければいいだけの話です。で、御嶽山が観光地なのか登山ルートなのかという議論になりますが、小生は途中までロープウェイがあるにしても、ハイヒールや通勤靴で登れるところではないので、やはり登山だと考えます。
 今回の場合は、自然条件の危険度予測を提訴の対象にしているわけですが、これが裁判になじむものなのか。「気象庁が大雪、大雨情報を出さなかったので遭難した」とか「県は落雷予想を出さなかったので雷に打たれた」などの文句が言えるのでしょうか。あるいは、山中に入れば熊やイノシシに遭遇したりすることもあるでしょう。それもすべて山を管理する者の責任ですか。ちょっと無理があるような気がします。登山はやはり自己責任でいいのではないか小生は思います。

 上の写真は、新宿駅新南口前で見たイルミネーション風景。