つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

老人施設全体への信頼感損なった事件

 川崎市の介護付き有料老人ホームで一昨年秋、入所者3人が 相次いで転落死した事件がありましたが、神奈川県警はきょう、23歳の元介護職員を殺人容疑で逮捕しました。3人が転落死した時にいずれも当直であり、しかも2件は第一発見者であったという。状況から推察すれば、この元職員は限りなく黒に近い灰色だったのですが、決定的な証拠がなかったためか、逮捕に1年以上もかかってしまいました。
 報道によれば、この元職員、入所者の所持していた現金も奪っていました。その窃盗犯罪だけは決定的であったためか、これによって解雇されています。早い話、川崎ホームの入所者は泥棒と殺人者に介護されていたわけで、大金を以って老人を預けた家族にしてはいたたまれない、許すことができないケースです。小生の母親も現在有料老人ホームに入っているので、話は身近に感じるし、同情してあまりあります。
 警察の取り調べに対し、この元職員は最近、2件について犯行を自供したもようとのこと。自供に追い込むのになぜこんな時間がかかったのか。いや、むしろ事件取材の経験者からすると、警察の密室段階での「自供」というのは厄介、危ないと感じられます。場合によっては、裁判段階でひっくり返すことも十分考えられるからです。
 自供に追い込んだなら、自供によって得られた情報によって犯人しか知りえない直接的な証拠を確保することが何よりも重要です。もし、3人死亡に関与していれば、これは重大犯罪で極刑にも値します。23歳の男に極刑というのは可哀想すぎますが、仕方ないでしょう。当然の報いです。
 それにしても、殺人の動機が浮かんできません。元職員の犯行だとすれば、被害者をベランダに連れ出し、わざわざ高い柵から投げ出さなければなりませんが、これにはかなりの労力が必要です。単なる仕事のストレス発散から来る衝動的な行為とは思えませんね。金を盗むのを見られたための”証拠隠滅”なのか。でも、入所者はすでに痴ほう症にあったというので、それはそれなりに言い逃れはできたはずです。
 今回の事件は、へんな介護職員が一人つかまったというだけでなく、介護施設全体に対しての不信感につながってしまいました。小生は、母親のいる老人ホームにこれまで十分な信頼感を持っていましたが、残念ながら今後は、虐待はないのか、いい加減な介護はないかと元記者なりの監視をせざるを得なくなりました。


 上の写真は、台北市内にある新北投のラジウム温泉地。箱根の大涌谷のように谷間から湯気が出ているところもありました。