つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

病院内殺人事件は現代の狢(ムジナ)

 横浜市神奈川区の大口病院で、老齢入院患者の点滴液に界面活性剤が混入されていたという事件には驚きました。文字通り”必死”の思いで来ている病人にとってはもちろん、病院は頼みの綱と感じる世間一般の人も予想外の出来事と感じたでしょう。小生も昨年、入院した経験がありますし、神奈川区は自宅のある西区の隣ですから近い。何か他人事ではない感じがします。
 そもそも点滴液に異物を混入するというのは医療従事者以外でもできるものなのか。小生も1週間くらい点滴液だけで生きていてたいへんお世話になったのですが、その割には装置がそもそもどういう仕組みになっているのか、どんな液体を入れているのか、まったく分かりませんでした。
 また、どの程度の頻度で付け替えをするのかも関心はなく、まったくナース側にお任せです。小生の場合、病院もナースも100%信頼していましたから。ほとんどの入院患者も同じように病院任せではないでしょうか。しかも今回、異物が混入されたのが病室内は消灯している深夜とのこと。患者にとってはあらがう術はないのです。
 大口病院の場合、これまでも看護師さんらに差し入れられた清涼飲料水に異物が混入される事件があったとのこと。また、同病院で今回の患者のほかに数例の不審死があり、「病死」の形で処理されていたと言います。もしそういうことでしたら、今回の事件は当該老齢患者一人を特定して狙ったのではなく、無差別の大量殺人、傷害事件ということになりかねません。重大な事件です。
 ものは点滴液、しかも深夜の犯行。となると、だれが見ても外部の侵入者がやれることでなく、内部の者の仕業と思ってしまいます。警察はすでに犯人を絞り込み、その証拠固めをしているのかも知れません。病院は性善説に基づいているので、どうも監視カメラなどというものはないらしく、その証拠固めは難しいと思いますが、、。
 内部犯行ということになれば、これまでの病院職員同士の信頼関係は崩れてしまうし、第一、病院自体の評判を落とします。そこで、テレビワイドショーの報道を見ても、内部犯行説を強調していませんし、院長も極力それへの言及を避けています。仲間を疑うことは悲しいことです。でも、真相はそう遠くない時期に明らかになるでしょう。
 それにしても、病院内で殺人事件が起きるというのはもっとも怖い。やっと信頼できるところに来たと思ったのに、それを覆すような事態が起きるのだから。のっぺらぼうの女から逃げ、やっと夜中の光明、夜鳴き蕎麦屋を見つけ、安心し切ったのに、またその恐怖を味わう小泉八雲の「狢(ムジナ)」を思い出させます。

 上の写真は、京都・仁和寺正門わきにある仁王像。