つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中共崩壊のシナリオ予想する小著

 久しぶり、なんと7、8年ぶりに自筆本を上梓しました。題名は「こんなに脆い中国共産党−現実味のある3つの崩壊シナリオ」というもので、PHP新書で5月15日の発売です。19日に朝日新聞に新刊PHP新書の宣伝案内が掲載され、小生の本も紹介されました。知人の出版社の人に聞いたところ、その当日の新宿・紀伊国屋書店では、全書籍の売り上げでトップ10ということでしたので、まあまあ幸先のいいことだと思います。
 ところで、新聞に掲載されたPHP新書の宣伝コピーを知り合いの友人、知人や中国人に渡し、買って読んでくださいと頼みました。もちろん、友人、知人の中で「買うと金かかるから、一冊くれ」という人はなく、皆一様に「ぜひ買って読みたい」という声でした。一方、中国人は複雑な表情を見せ、買うとか買わないとか、「ほう、面白いね」という特段の反応もありませんでした。
 中国人は概して、共産党政権に対し批判的なことを言うと、周囲の人に告げ口され、中国国内における自らの立場を悪くするので、それを嫌います。文革時代は、今の北朝鮮並みに、ささやかな体制批判であっても、それを針小棒大に言われ、自己批判を求められました。いや自己批判どころか、獄につながれ、墓穴を掘ることにもなりました。
 ですから、小生のこうした題名の本に反応するのは難しいのでしょう。日本に来ている中国人は知識人が多いので、政治制度の優劣は分かっているはずです。内心独裁政権は倒れてほしい、日本と同じような人権尊重の国になってほしい、太子党を中心とした特権階級優先の社会は崩壊してほしいと望んでいる人は少なくありません。しかし、ストレートにそういう感情は出しにくいのです。
 小生がビジネス上で親しくしている中国人がそうですが、彼らは本心を糊塗する形で、常套句のように「中国のような人口大国をまとめるのは強権力が必要だ。共産党の支配はしょうがない」と言います。確かに、そうした一面もあるでしょう。ただ、じゃー共産党がなくなれば中国自体がなくなるかと言えば、そんなことはない、もっと発展する。中国は十分したたかな国だと小生など強く思っています。
 中国人はもともと個人主義であり、家族単位で強大な力を発揮します。ですから、別に共産党などなくとも、十分経済、社会は発展するでしょう。いや政治、支配システムにしても、党の特権にあぐらをかく太子党ではなく優秀な人が出てくる可能性が高いので、もっと洗練された社会が形成されるように思います。
 それに13億人の人口と日本の25倍の国土を一元集中で支配するのは難しすぎます。米国の州のように、もっと1級行政区に権限を持たせ、分権化を図るべきです。その方がずっときめ細かい政策、行政サービスが打ち出せるはずです。ですから、自筆本の末尾に、中国は連邦制を目指すべきだとも書きました。
 国際的に覇権を求め、そうした対外的拡張主義にしか、自らの政治的存在理由を見いだせない今の共産党政権など倒れた方がいい。そうなれば、少なくとも日本はじめ周辺国にとっては幸せなことです。