つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

米国の北朝鮮対応が見えてこない

 北朝鮮は今回打ち上げた”飛行物体”について、「人工衛星打ち上げロケット」と言っています。日本はじめ西側のメディアはおしなべて「事実上の弾道ミサイル」と表現していますが、まあ、衛星打ち上げロケットであろうと弾道ミサイルであろうと、運搬手段の構造に変わりなく、要は弾頭に何を載せているかによる違いだけなのです。
 北朝鮮の”飛行物体”の弾頭には何も積載されていないのでしょうから、「衛星打ち上げロケット」としても、実は差し支えないのです。ただ、あの国は、これまでもノドンだ、テポドンだと中長距離ミサイルの開発を公表しています。ですから、今回も大陸間弾道弾(ICBM)を目指した”飛行物体”であることに間違いないでしょう。
 米国は、北朝鮮弾道ミサイルが直接自国に届くことを恐れています。そこで、ミサイル運搬手段の性能を判断する視点として、(1)飛行距離が1万メートル以上あるのか、(2)大気圏に再突入した際、物体が燃え尽きない技術水準にあるか―を見ています。それに、弾頭に積載する”物体”が打ち上げに耐える軽量化、小型化しているかという点も重要です。
 今回、飛行距離は1万メートルに達しているようですが、大気圏再突入は確認されていません。また、弾頭への積載物はないようなので、核の小型化なども確認しようがありません。北朝鮮自身や一部の観測筋は「すでに小型化された核兵器を持っている」と言いますが、米国はこれには否定的です。でも、いずれ時間がたてば、これも開発されることになるのでしょう。
 米国政府、少なくともオバマ政権は、北朝鮮の核・ミサイル開発情報に対して、表面的には一貫して冷静、簡単な非難声明に終わっています。これまで事態をアンダーエスティメート(低評価)しようしようという姿勢ばかりが目立っています。その実、長期的には脅威に感じていることは間違いないと思うのです。
 でも、どう対処していくのかの方向性は見えてきません。近い将来、核保有国として認知し、交渉するのか。それとも、核保有国としては認められないので軍事的にたたいてしまうのか、あるいは北の体制が自壊するのをじっと待つだけなのか。米国の方向性が見えなければ、日本も対処のしようがないというものです。
 北朝鮮が今、核兵器と長距離ミサイルを含めた運搬手段を持つことで、米国ばかりか、中国、ロシア、いや世界全体に脅威を与えています。そろそろこの国に対し、経済制裁以上の手段を取らないと、われわれの安全が手玉に取られることになりかねません。ベルサイユ条約で非武装地域と定めたラインラントにナチスドイツが軍を進めたことに対し、新たな軍事的メッセージと読めなかった当時の過ちをもう一度振り返り、教訓とするべきです。

 上の写真は、台湾・台南の名レストラン「阿霞飯店」で食べたカニ料理。最近、台南で地震が起きたことに驚いています。