つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

今どき大臣室で金の受け渡しか

 TPPの担当閣僚である甘利明大臣が辞任しました。千葉県内の建設会社が道路建設をめぐって甘利側にUR( 都市再生機構)への口利きを依頼、その謝礼として総額1200万円相当の現金などを贈っていたという疑惑を週刊誌で書かれ、大臣はそれに対する反論ができず、事実上認めた形になったためです。甘利氏はTPP交渉で頑張っていた印象があったので、締結式直前の辞任は残念なことですね。
 千葉出身の小生は毎月1回千葉市に赴き、関係している奨学金財団の定例飲み会に参加していますが、その宴席には建設会社の社長をしている小学校時代の友人も出席します。件(くだん)の週刊誌を読んでいなかったものですから、この問題が大きく取り上げられて最初に心配したことは「千葉県内の建設会社」がその友人の会社ではないかという点でした。これはどうやら杞憂に終わりました。
 そして次に気になったのは、今どき大臣室で現金封筒を受け取るような大臣がいるのかなという点でした。実は小生、昔通信社記者として文部省担当をしていたとき、リクルート事件が起こり、リクルート社から執務室で事実上賄賂となるべき未公開株の譲渡を受けていた事務次官がいたことを覚えているからです。当時、あまりにも”大胆不敵”な役人の犯行ということで、激しい批判が浴びせられました。
 ですからその後、政治家にしろ、役人にしろ、賄賂と見られるような”物”のやり取りを勤務先の役所などで行うことはないだろうと思っていたのです。が、依然として懲りない面々がいるのですね。リクルート事件は25年前のことであり、時間の経過がこうした事件の教訓を消し去ってしまったのかも知れません。
 甘利大臣は記者会見で、50万円の現金封筒受理に関し、「最初は気づかず、後から秘書から言われてやっと認識、『政治資金として会計処理するように』と指示した」「もし、現金封筒をその場でスーツの内ポケットに入れたら、人間として品位が疑われる」などと説明していました。ですが、あるテレビ報道では、建設会社の当事者が「大臣は目の前で背広の内ポケットに入れた。現場を見ていた人は複数いる」と証言しています。
 現時点ではどちらが正しいのかは不明ですが、賄賂の認識があるかどうかにも関係してくるので、いずれこの問題も検証されるでしょう。もし、甘利氏が会見でうそをついていたとしたら、彼は二重に恥をかくことになるし、責任が問われることにもなります。大臣の辞職どころか、あるいは議員の辞職にもなりかねません。
 「甘利明」という名を漢文読みすると「利ニ甘イノハ明ラカナリ」などと揶揄し、彼にもともと汚職体質があったのだと言わんばかり話していた元大手紙記者がいました。利に甘いかどうかはともかく(相撲で言うところの)脇は甘すぎました。頑張っていた感がある閣僚だっただけに国民の多くは同情しているでしょうし、本人も無念なことでしょう。

 上の写真は、台湾民進党の長老辜寛敏氏と小生。台湾に取材した折、蔡英文政権の今後について長老に話を聞いてきました。