つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「者ども、よきにはからえ」にならないか

 いやー、2月に実施される都知事選挙の候補者に、室町時代以来の殿様と言われる細川護熙元首相が名乗りを挙げたことに驚かされました。最初にこの情報を聞いたとき、「え、ありえない。ゾンビやキョンシーじゃあるまいし、真冬に出てくる代物ではなかろうに」と思いました。でも、昨日、今日のワイドショーを見ていると、どうも本人は本気のようで、近く正式表明するらしいのです。
 御年75歳だそうで、その高齢ゆえに反対する向きもありますが、小生は歳は関係ないと思います。昔、元内務官僚の鈴木俊一氏が80歳を超えて都知事のイスに座っていたこともありますし、細川氏当人に認知症などなく、きちんとした判断力、政策立案・遂行力を持っていれば、それほど問題はないと思います。
 首相まで務めた人が都知事という”下位”のポストに就くことがあっていいのかということも言われていますが、小生はこれについても違和感を感じません。現に、首相を務めていた麻生太郎氏が現内閣で財務大臣になっているし(適正は別にして)、かつては宮沢喜一さんや高橋是清さんも同様に首相のあとに大臣になっています。能力さえあれば問題ないと思います。
 小生が問題にしたいのは、細川氏原発問題というワン・イッシューだけを提示し、この即時反対を叫びたいがために出馬するのではないかと見られていること。エネルギー政策は、どなたかが言ったように国政レベルの話であり、わざわざ都知事選の争点にする必要はないのだと思います。原発反対を叫びたいのなら、山本太郎氏のように昨年の参院選挙に出るべきでした。
 細川氏小泉純一郎元首相の応援頼みという姿勢もちょっと解せません。ワイドショーの解説者によれば、細川氏が出馬の意思をなんとなく漏らしたのは、すでに小泉氏から応援の内諾を受けているからとのことのようです。そうであれば、小泉氏は最近の持論である原発反対を講演会の場でなく、正々堂々政治の場で訴えることができるわけです。でも講演会ならまだしも、政治の場で本格的に発言すれば、かつての政治基盤である自民党に弓引くことなり、軋轢が増すでしょう。ご子息の立場も危ういものにしてしまいます。
 確かに、今でも圧倒的なファンがいる小泉氏が応援に付き、街頭演説などで細川、小泉が並べば、相当な人だかりができるでしょう。でも、よくよく冷静に考えれば、元首相の2人が雁首そろえて、都知事の選挙にもかかわらず原発反対のワン・イッシューを訴えるというのはちょっと奇異な感じがします。都は6年後にはオリンピックを開催しなければならないという政策上の喫緊テーマを持っています。「それなのに、東京都はなんで今、原発問題で争っているのだ」と諸外国から笑いものにされてしまうし、オリンピック開催を不安視されてしまうかも知れません。
 細川氏都知事選に出ることは反対しませんが、でも原発反対の「宣伝マン」に終始することなく、本当に都知事になりたいという意思を示す意味で、少なくとも都政のかかえるすべての問題についての腹案と、さまざまな意見、批判に応じられるだけの知識、ディベート力を身に付けてきてほしいと思うのです。甘利経済再生相は、細川出馬報道に対し「殿、ご乱心」と揶揄したけど、出馬はいいとしても、もし原発問題以外について「者ども、よきにはからえ」などと丸投げにしてしまったら、都民いや国民は不幸でしかありません。
 下の写真は、横浜みなとみらい地区の突端にある「プカリ桟橋」。11日夜、この桟橋からある画家のクルーザーで横浜港を一周してきました。いつもの竹芝桟橋、品川沖とはちょっと違う味わいがありました。