つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

デジタルマネーの給与支払いは是か非か

 先日、日経新聞を見ていたら、サラリーマン給与の支払いについて、デジタルマネーの導入が見送りになったようです。早くからキャッシュレス時代に入っている中国なら当然デジタルマネーOKでしょうが、日本ではまだまだ機は熟していない様子です。特に、労働組合の元締めである連合が反対しているとのこと。若者は「連合の幹部なんてインターネットもよく分からない世代なので」とバカにしていることでしょう。確かに、昨今、若い世代で電子マネーを使う人は多くなっています。通貨への認識が変わってきているのは間違いありません。

 その昔、サラリーマンは、封筒に入った札を女房に直接手渡しすることで、その札が男の労働対価だと女房に認識させ、威厳を保ってきました。ところが、銀行振り込みになって、口座の管理は女房が担当する家が多く、男どもは賃金に直接タッチしなくなりました。そこで、女房どもの頭の中で男の労働対価と銀行の金の関係性欠如が生まれ、その分男の威厳もなくなったのです。小生がいた会社は、ちょうど入社した年度から給与の現金支給が銀行振り込みに変わりました。だから、小生は関係ないのですが、先輩たちはかなりのわだかまりがあったようです。

 銀行振り込みになって安全性が一段と高まったのは確かです。給料日に酔っぱらってなくしたり、すられたりすることはなく、多く現金を持つことで気が大きくなり、余計に使ってしまうこともなくなりました。それでも現金にこだわる人はいます。先輩たちの中には相変わらず、威厳を示すために、すぐに自分の銀行口座から全額給与を下ろし、銀行の封筒にそれを入れて女房に渡すという御仁もいました。今は昔の笑い話です。小生は海外にいる時はともかく、日本では銀行口座の管理はすべて内人に任せていました。

 連合がデジタルマネーに反対しているのは、彼らが旧世代で頭が古いだけではなさそうです。労働基準法によれば、給与の支払いについては、①通貨で支払うこと、②直接労働者に支払うこと、③分割せず、全額一括で支払うこと、④毎月一回以上支払うこと、⑤一定の期日を設定し、支払うこと-となっているとのこと。最初に出てくる「通貨での支払い」という点について、連合はこだわっているのだと思います。

 ただ、労基法が言っているのは、労働対価は国家が発行する通貨での支払いであって、現物支給などではダメですよという意味。法施行当時はデジタルマネーなどなかったので想定外だったのです。で、改めてデジタルマネーは「通貨」と認識できるかどうか。若者が一般的にスマホなどのデジタル機器で金の決済をしているのなら、本来デジタルマネー支払いでもいいのでしょう。だから、選択制でしてはいかが。あくまで銀行振り込みにこだわる人には銀行口座に、デジタルでもいいという人にはペイペイなどの電子システムに投入すれば良い。

 では、お前は給与の電子マネー支払いに賛成なのかと問われると、小生は今、サラリーマンではないのでどちらでもいいと思いつつ、本音ではやはり古い世代だし、デジタルマネーはまだ時期尚早なのかなと感じます。自身、まだ使っていないし、アルバイト原稿を書いてその原稿料をペイペイで払いますとか、ビットコインでどうですかなどと言われたら、正直困ります。コンピューター上、スマホに大量の金が入っていると思うだけで、不安です。ネットバンキング犯罪が多いですから。それでも、日本もやがてキャッシュレス主流の時代に入るんでしょうね。

 上の写真は、小生の自宅からそう遠くない大岡川の橋にそばにある早咲きの桜。川津桜か。