つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

コンサルタント料とはやはり賄賂なのか

 広告会社「電通」の元幹部で、東京五輪組織委員会理事でもあった高橋治之(78)という男が、紳士服の青木で有名なAOKIホールディングスから5100万円の賄賂を受けた容疑で東京地検に逮捕されました。贈収賄事件には贈られる側があれば、贈る側もある。そこで、青木拡憲前会長(83)らAOKIの幹部も贈賄容疑で逮捕されています。容疑の内容は、高橋が東京五輪で開会式などで着る統一ユニフォームをAOKIが作れるよう便宜を図ったというもの。小生のこの事件での第一感は、森喜朗組織委会長(元首相)を含めて登場人物が随分年寄りばかりだなーとの印象でした。

 高橋治之容疑者は、電通時代にサッカーのワールドカップ日韓大会を招致したりしてもともとスポーツ界で大物フィクサーだったようです。ですが、今回の事件でしばしばニュース画面に出てきて、それを見た小生の印象は、この男、随分品のない顔、品のないしゃべり方だなーとの思いでした。顔に知性がないし、日本国のために貢献したいという崇高な精神も感じさせない。要は、会社の利益のため、ひいては自分の地位を保ち、財を膨らませるためだけといういやらしいツラ構え。普通、もう十分に金は持っている人が70歳過ぎて老境に入れば、公徳心が湧いてきて私腹肥やしはあまり考えないものですが、この人は違ったようです。

 顔は人生の履歴書。50歳くらいになると、気持ちの優しさ、明るさが顔に出てくるのと同じように、欲深さやいじわるさ、残忍性も顔に出てきます。ですから、小生も、昔の映画の題名のように「名もなく貧しく美しく」、玉置浩二の歌のように「清く正しく美しく」の人生をずっと頭の隅においていて、年寄りになって品性の下劣さが顔に出るような人になりたくないなとずっと思っていました。今、相変わらずの年金暮らしで、貧しくやつつましくは実感していますが、清く、美しくを実現しているかどうかは分かりません。それは他人が判断することですから。

 それはともかく、高橋治之はAOKIから受けた5100万円をコンサルタント料だと主張して賄賂性を否定しています。で、これもしみじみ考えたのですが、いったいコンサルタント料って何なのという点。常識的に考えれば、企業はある人にコンサルタント料を払う場合、自社のために働いてくれという願いというか要求が込められていると思います。であれば、高橋氏がコンサルタント料をもらっている以上、かの企業のために尽力するのは当然でありましょう。何もしなかったら、払う意味がない。

 贈収賄罪とは、贈賄側が公務員などに対し、その職務権限に関して具体的な要求を突き付けて金品を差し出し、収賄側がその要求通りの実行を約束した時に成立する犯罪です。AOKIは東京五輪の協賛企業に入りたかったし、それで実際にAOKIの服は五輪に採用されたので請託、受託があったのですから、東京地検はこのコンサルタント料を賄賂と認定したのだと思います。要は、公的な組織を相手にし、請託が実現した場合、給与然として支払っていた定期的なコンサルタント料はすべて賄賂と見なされてしまうのです。

 高橋治之は2017年秋から2022年春までAOKIのコンサルタントを務めています。東京五輪組織委理事は当然、準公務員(みなし公務員)扱い。であるならば、もともと高橋氏は特定企業のコンサルタントなどになるべきでないし、なっていたとしても組織委理事になると同時に退任すべきであったのでしょう。が、彼は公的地位と私企業のコンサルタントの地位に並行して就いていました。その点が大いに問題だった。そうなれば、コンサルタント即賄賂とされても仕方ないと思います。

 高橋治之の実弟長銀をつぶした男として有名な高橋治則です。治則氏はかつてイ・アイ・イという企業で社長を務め、バブルの時代に日本長期信用銀行から多額融資を受けて不動産投資。バブル終息で利益が上げられず、イ・アイ・イどころか長銀まで多額債務を負わせ倒産させ、自身も背任容疑で逮捕されています。この兄弟、単に金儲けに走っただけなのですが、不運だったのは、その時期や、長銀という巨大銀行、五輪というビッグイベントに関わったということでしょう。

 ただ、われわれ良識ある一般人からすると、せっかく日本がメダルラッシュとなり、国民を熱狂させた東京五輪に対し、今さらながら染みを付けた、汚点を残したという点では残念でなりません。

 上の写真は、友人のフェイスブックで見つけたクイズ。