つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

岸田氏の言う新しい資本主義って何だ!?

 岸田内閣は誕生してあと1カ月ほどで丸一年を迎えます。当初の人気が陰り、最近、支持率が急落しています。安倍元総理の死去による同情票を得て参院選は勝利したものの、安倍氏自民党議員と統一教会との関係過密が思わぬ形で暴露され、連日メディアで取り上げられるようになったのが不運でした。小生は、ある宗教団体に対し、その存在が認められている以上、必要以上に追い詰め、社会の批判の対象にするのは魔女狩りと同じでやるべきことではないと思っています。 

 が、1990年代の統一教会による多額献金霊感商法事件で多くの人に毛嫌い感が残っており、今回その記憶がそれが呼び戻されたようです。本来、ひどい宗教組織であるならば、暴力団対策法の「指定暴力団」と同様に「指定宗教団体」などとして、その組織や構成員の活動を法的に制限するような措置を取ればいいのに、それもせず、メディアや法曹界が扇動して徹底的に村八分にするようなやり口は感心しません。ですが、それは今回のテーマでないので、敢えてスルーします。問題は岸田内閣支持率がなぜ下がったのかという点です。

 岸田氏は、経済政策について当初「新しい資本主義」などという言葉をぶち上げてきました。小生は正直「なんじゃこれ」と思いましたが、ネットで見る限り、多くの国民はいまだにその内容を理解できていないようです。安倍氏は金融緩和、財政出動、成長戦略という「アベノミクス、3つの矢」を打ち出しました。要はお札を刷ってインフレ化させる、産業基盤作りのために効率的、重点的な財政投資を図る、先進的な産業分野を見つけ、その育成に努めるというようなことだと思いますが、これに比べて「新しい資本主義」は分かりにくい。

 それで、岸田内閣官邸のHPを改めて見ました。「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」を目指す-と説明していますが、この言葉で、彼の考えているフレームワークを理解できる人はほとんどいなんじゃないかと思います。岸田氏は、インフレ下の中で労働者の賃金が上がっていないことを特に重視していますが、一般的に賃金上昇はインフレのあとに必然的に起こり得る光景。産業のイノベーション、新規産業の発展などで成長率が上がれば賃金は上がります。もしそれがないとすれば、資本家が無理矢理賃金への分配を抑えているかです。

 ですから、岸田氏が指摘する「今、成長と分配の循環がきちんとできていない」ということは、経済成長そのものがないか、企業が必要以上に内部留保に励んでいるかのどちらかでしょう。結論を言えば、他国を驚かせるような成長率が確保できていない、成長産業がないということでは。成長がない段階で、分配、分配と強調すると、なんだか3流の社会主義国のようにインフレだけが進むような感じがしてなりません。

 あるいは、分配を強調し過ぎると、中国の習近平氏が言うところの「共同富裕」を想像してしまいます。小生に言わせれば、共同富裕というのは悪平等に過ぎず、社会全体の発展を阻害します。アリババのジャック・マーやテンセントのポニー・マーのような優秀な企業家が出てきて経済全体を引っ張る形がつぶされるということです。残念ながら、今の中国はそうなっています。2人のマー氏は自由な経済活動を制限されています。それによって中国の経済成長はかつての勢いがありません。

 日本は独裁国ではないのですから、資本主義の自由な発展、個々人の自由な経済活動を保障する場を提供する方がいい。先に豊かになる人が出てきてもいいという「先富論」を貫徹し、成長戦略が描ける優秀な企業家を育てるべきです。そのためには、必要以上に分配を強調しない方がいいように思います。

 上の写真は、桜木町駅近くの飲み屋街「野毛」で見かけた”香港花”と店先の絵。