つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

長かったな、トランプ大統領の1年

 ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任してから1月20日で丸1年になりました。正直、「えー、まだ1年しか経っていなかったの、長かったなー」という印象です。この1年、トランプ氏は良い面、悪い面にかかわらず注目されていて、マスメディアへの露出度が極めて高かったように思います。特に、オバマ大統領、民主党前政権時代の”遺産”をことごとく壊したことは嫌でも記憶に残ります。果たして、世間は彼のやってきたことをどう見ているのでしょうか。
 テレビも新聞も「トランプ政権1年を総括する」みたいな特集をやっています。経済面だけの評価を見ると、それなりに高いようです。経済成長率は目標値の3%を超え3・2%アップを達成し、国内の雇用を210万人増やしました。この数字だけを見れば、「トランプはさすがに企業経営者、経済が良く分かっているし、良くやっている」ということなのでしょう。
 でも、日本のテレビ局が自動車産業都市のデトロイトなどがあるラストベルト地域で住民にインタビューすると、雇用が戻っている感じはなさそうな答え。むしろ「トランプには裏切られた」という声さえ多く聞こえてきました。景気は戻っているのでしょうが、やはり好不況は産業間で異なっているほか、全体的に2次産業から3次産業に移って、既存の産業には陽の光が戻ってこないのかも知れません。
 トランプ氏はNAFTAからの離脱は辛うじて避けているものの、TPPからは離脱しました。彼は広い範囲の自由貿易の枠組みが嫌いなようです。この考えは、短期的には成果が出るかも知れないが、長期的にはむしろデメリットの方が大きいと小生は見ています。なぜなら、米国はすでに衣料などの軽工業品、家電製品が全くと言っていいほど国内で造ることができず、中国や発展途上国に頼っていますから。貿易は相互主義であり、一方が高関税をかけたら報復もできる。そうなると、米国もいずれ高い軽工業品を買う状況に追い込まれてしまいます。
 それに、これは案外知られていないことですが、米国の経済を支えているのは、合法、不法にかかわらず入ってくる発展途上国の人たち。彼らが低賃金で働くことによって米国の全体的な賃金上昇が抑えられているのです。もし、メキシコとの壁を高く設定して中南米の労働者が入れないようになったら、米国内の工場は高賃金でしか働かない地元の米国人に頼らざるを得ず、コスト高に陥ってしまうでしょう。
 オバマ前大統領が心血を注いで成立させた国民皆医療保険オバマケア」を否定したのも、国民にどう映るか。これはトランプ氏個人の考えでなく、新自由主義的志向を持つ共和党全体の政策だと思うけど、いったん決めた最低限のセーフティーネットをチャラにすると、トランプ氏の安定支持者と言われるプアホワイトからもかなり反発が出るのではないでしょうか。
 地球温暖化防止に関するパリ協定からの離脱、シリアへの突然の空爆イスラエルエルサレム首都認定……。対外的、政治的にはかなりタフな姿勢を示してきました。世界から歓迎されたものではありません。パリ協定離脱はEUをはじめ同盟国からの反発もあったし、シリア爆撃はロシアやトルコなどの不信感を生みました。エルサレム首都認定は、娘婿でホワイトハウス上級顧問のユダヤ人、クシュナー氏に迎合したような安易な決定のよう。全中東、イスラム教諸国の反発を買っただけで、決して今やるべきこととは思えません。
 トランプ氏に対しては、ロシア疑惑で今でもFBIの捜査が続いています。任期2年目の彼にとってこれが最大の関心事でありましょう。小生は品性に欠けるこの男が一日でも早くホワイトハウスを去ってくれることを願っていますので、頑張れFBIと応援したいですね。

 上の写真は我が家の愛犬マオ。今年16歳になります。