つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

トランプはやはりろくでもない大統領

 ドナルド・トランプという男、一昨年に米大統領選の共和党候補者の一人として登場した時からどうも好きになれなかったけど、まあどうせ当選できっこないからどうでもいいやと思っていたら、なんと当選してしまったのです。小生はどちらというと新自由主義の米共和党の支持者なので、「当選した以上は」と無理やりトランプ大統領に期待しましたが、政権スタートしてから1年余、やはりろくでもない大統領であることを再認識しました。
 その理由の一つが大量のスタッフ首切り。最近でも政権の中枢を担うべきティラーソン国務長官、マクマスター安全保障担当補佐官の更迭を連発、うんざりしました。彼らは、安全保障に関わる重要ポジションにいたわけで、本来なら政権担当時はずっと一緒でいなければならない人たちです。ケミストリー(肌合い)が合わないからと更迭するなら、最初から選任しなければいいものを、わざわざ鳴り物入りで選んでおいて、1年余で首切りとはあんまりです。
 それから、対中国貿易の不均衡から発した鉄鋼、アルミニウムの輸入制限や通商法301条など発動による高関税化。世界は戦前、ブロック経済重商主義によって国家間の対立が生じ世界大戦に発展したように、物のやり取りに垣根を作ると、やがてとんでもない対立を生みだします。一つの国家が関税障壁を設ければ、当然相手国も報復に出るわけで、それが世界平和の維持にどれだけマイナスになるか、トランプは分かっていないようです。
 鉄鋼やアルミの輸入規制に関して、米通商当局は、EUや韓国は対象外としながらも「日本は除外されていない」として、日本にも中国と同様に高関税をかける姿勢を示しています。安倍首相は当選後ずっとトランプの機嫌を取り、日米の関係強化に努めてきたのに、トヨタ自動車など経済界も「米国内に工場を造れ」と言われれば、二つ返事で応じてきたのに、EU、韓国と我が国を分ける米側の態度はあまりにもつれない感じがしてなりません。
 でも、それは日本の個別的願望であって、いわば日本の自分中心的な嘆き節なので、特筆するつもりはありません。それよりも、世界の平和秩序を維持するために、自由な貿易取引が必要なことは普遍の真理。日本はその真理を世界に訴え、自由取引の枠組みを断固守るよう米側を説得すべきです。その場合は、中国と手を組むことさえためらうべきではないでしょう。
 ともかくも、米国は今、国内で衣類、家電などの軽工業品は造れず、自動車などの重工業品も日本や欧州のものと比較できないほどの粗悪の不人気商品を造っています。そんな状態の米国が中国さらには日本の製品に高関税をかけ、輸入にブレーキをかけることが現実にできるのか。代替品をどこから持ってくるのか。米国はもう少し自らの現状を知るべきです。
 中国は早くも報復関税の品目を提示し、応戦する姿勢を示しています。貿易戦争という戦いはどちらも痛手を被るだけで、勝利者はいないのです。米国はじめ世界各国はWTOなどに集まって、自由取引の必要性という普遍の真理をもう一度を確認してほしいと思います。

 上の写真は、香港・油麻地にある夜店ストリート(男人街)に併設された野外レストラン。