つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

期待通りに行かないフランス、韓国新政権

 昨年の英国のEU離脱に関する国民投票、米国の大統領選挙は意外な結果でびっくりさせたけど、この5月初旬にあったフランスと韓国、2つの大統領選挙はいずれも事前の世論調査の通りの結果。まあこう言っては差しさわりがあるかとも思うけど、記者的に見れば、予定稿通りに進む面白みのない選挙でした。
 フランスで国民戦線のル・ペン候補が当選していたら、どうなっていただろうか。恐らく彼女でもEU離脱には踏み切れないと思います。彼女は選挙公約で離脱を宣言すると言っているのではなく、離脱を問う国民投票をすると言っていただけ。ですから、選挙をすれば、EU離脱にはならない。EUはドイツとフランスの再不戦の誓いがベースになっているので、その当事者の国民が抜け出るという選択をすることはないと思います。
 新大統領になったエマニュエル・マクロンなる39歳の若者は、妻が24歳年上という変わった”家庭環境”を持っていることが目立つだけで、政治面で個性的な魅力があるとも思われません。ただ、国立行政学院という超エリート校の出身で、顔もハンサム、主張も無難なので、ドイツのメルケル首相はじめ他のEU加盟国の指導者はさぞや安心したことでしょう。
 フランスは失業率が高い国。これは、この国が先進国の割には生産性の低い農業国でもあるという矛盾から来るもので、言わば構造的なものです。他の比較的後進のEU国なら余剰労働力は先進国に出稼ぎに行きますが、プライドの高いフランス人は行かないのです。ですから、マクロンがエリートの知恵を出しても早々解決できる問題でもありません。
 韓国国民は、文在寅ムン・ジェイン)次期大統領に大きな期待を持っているようですが、これも無駄なような気がします。すぐに大きな壁に突き当たる予感がします。北朝鮮に融和的な姿勢を示していますが、あの刈り上げ頭の独裁者にどうして核兵器とミサイルの廃棄が迫れるのか。彼は決して手放さないでしょう。となると、文氏が融和的に接する見返りとして何を求められるのか。
 開城(ケソン)工業団地の再開くらいはできるかも知れません。でも、これも米国側は「北に核・ミサイル開発の外貨を与えるもの」として大反発するでしょう。米韓関係が悪くなれば、韓国が安全保障上で米を取るか、中国・北朝鮮を取るかの選択を迫られる。もし、文大統領が中国・北朝鮮に与する傾向を強めたら、かの国の経済は日米欧から見放され、立ち行かなくなってしまいます。
 もともと韓国のような半島国家は、地政学的に周辺大国の顔色を窺う事大主義的な傾向があるのですが、やり過ぎると自由と民主主義という共通価値を持つ自由圏諸国の仲間意識や共助の思いが薄れることになります。先年、西側諸国指導者が出席を嫌ったのに、朴槿恵大統領が西側の国としては独り中国の戦勝記念日軍事パレードに出て、不評を買いました。
 従軍慰安婦問題も、日韓両政府間で「不可逆的」解決に同意していながら、またまた政治的な取引材料に使うようです。日本がどうすれば、何をすれば最終的な解決になるのか、意味不明。またまたこの問題が蒸し返されることに、日本国民は呆れるどころか、怒りさせ感じさせます。文大統領が同じことを言ってきたら、今度はこちらがケツをまくることぐらいあってもいいのかも知れません。


 上の写真は神田にある有名な蕎麦屋「まつや」の店頭風景。GW中に出かけたのですが、11時過ぎから長い行列ができていました。