つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

フランスも江戸の敵を長崎で討つのか

 江戸の敵(かたき)を長崎で討つというが言葉ありますが、カナダが米国の要請を受け入れて中国の華為技術(ファーウェイ)の孟暁舟副社長を逮捕すると、中国は間もなく同国内に滞在している一般カナダ人数人をこれ見よがしに逮捕、拘束しました。これは報復的な措置と見られても仕方ありません。この国はそういう仕打ちを平気でやる国なのです。
 例えば、2010年、東シナ海尖閣諸島沖で、日本の海上保安庁の船に故意に衝突してきた漁船の船長を逮捕したところ、報復として国内にいる出張中のフジタの社員3人を拘束しました。”容疑”は軍事施設に近づき、スパイしたということです。衝突の漁船は福建省のものなのに、かなり離れた河北省石家庄にいた日本人を捕まえるのですから、まさに江戸の敵を長崎でという感じ、怖い話です。
 中国の軍事施設は普通秘密保持のためか、ゲートに門標を掲げていないので、そこが軍事施設かどうかが分かりません。ですから、意図的にでなくとも偶然に近づく可能性はあるのです。まして中まで侵入したわけでなく、近づいただけの人を逮捕するなどというのは言語道断です。そもそも建設会社であるフジタの社員がなぜスパイなどするのか。常識的に考えれば、ありえない話なのですが、北京当局は報復をすると決めたら、手段を選ばないということでしょう。
 2012年に日本の民主党政権尖閣諸島を国有化しましたが、これに対し、大規模な反日暴動が起こりました。共産党の批判など少しも許さず、デモ、集会の類いは一切認めない中国当局がなぜ反日抗議活動、日本商店の破壊活動だけを許すのか。そんなことができるのは、共産党当局が主導する”官制活動”であることは他ならない。これも明らかな国家ぐるみの報復活動でしょう。
 もともと三権分立などなく、共産党指導者が法体系を一元的に支配し、恣意的に判断できる独裁国家の中国でなら、こうした報復活動はあり得ましょう。ですが、同じ西側諸国であり、法の秩序を重んじるフランスでも同じようなことが起きたのには正直驚きました。日本のオリンピック誘致活動に関して投票権を持つメンバー国に賄賂攻勢を仕掛けたとして、フランス司法当局が竹田恒和JOC会長を贈賄容疑で訴追する構えを見せていることです。
 日本はコンサルタント会社に一括で金を渡し、協力を要請したのであって、コンサルタント会社がその後にどういう形でメンバー国に働きかけたのかはその会社の判断です。それをあたかもJOCが当該会社に直接、どこどこのだれだれに金を渡して篭絡せよと指示したように言うのは「為にする」非難でしょう。
 フランスは、国策会社ルノーの大幹部でもある日産のカルロス・ゴーン会長を日本の検察が逮捕、拘束したことを不快に思い、オリンピックの誘致の件を槍玉に挙げたのです。誘致からもう5年くらいたっているこの時期に、改めて日本の元皇族を訴追とは随分と手の込んだやり口で、国ぐるみの報復以外考えられません。自由、平等、博愛を国是とするフランスに失望しました。

 上の写真は、冬のある日の忙しそうな上野アメ横の風景。