つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

円安はどうも国債発行に関係しているらしい

 現在の日本円はなんと1ドル=145円前後とか。かつて小生が香港に住んでいた1990年代には安くても100円、場合によっては90円台前半と2桁台の円高になっていました。それによって香港ドル人民元で生活していたわれわれは、円の価値を実感し、その恩恵を得ていました。今、海外で生活している企業人で円で給与を得ている日本人は、信じられない”薄給”を感じていることでしょう。まあ、大企業の派遣員には、この差損分が当然配慮されていることでしょうが、、。

 なんでこんなに円安が進むのか。大局的に見れば、昔から「戦時のドル」と言われ、地球上のどこかで戦争が起きた場合、最大強国である米国の通貨の評価が高まるということです。また、米国は最近、国内の過熱化するインフレ状態から脱却するために数度にわたって公定歩合を引き上げています。それに対し、日本も物価高の中にあるにもかかわらず、金利には手を付けていません。それで、日米の金利差が生じ、円は金利の高い米ドルに流れてしまいます。

 ということで、円の価値はますます下がっていく。古来、通貨安というのはその国の弱体化を示します。「戦時のドル」という観点に立てば、世界の秩序作りのために他国に軍隊を派遣できない、武器も供与できない、軍事国家でない日本は後塵を拝する状態に置かれます。「戦時のドル」を逆の言い方にすれば、「平和の円」ということなりますから、本来この表現は誇っていいことなのかも知れません。でも、残念ながら、世界はいつでもどこかで戦争があり、しかも今は大国が隣国を呑み込もうという大規模な戦争がおきています。軍事的に他国を助けられない国家の通貨は評価されないのです。

 こればかりは致し方ないこと、止めようとしても止められない現実であり、円安の大きな原因を作っています。では、日米の金利差は果たして致し方ないことと言えるのか。日本もインフレが進んでいるのだから、米国に追随して金利を上げればいいじゃないかという論もあります。でも、金融当局は公定歩合を引き上げないのです。先日、極端な円安が進むので、財務省日本銀行の幹部が会議を開き、「これ以上の円安は容認できない」みたいなことを言い、為替介入を匂わせました。そう、今やれることと言えば、政府が為替市場で円買いに出る弥縫策しかないのでしょう。

 では、なぜ日本は金利上げができないのか。ネットで調べると、これは日本の国債発行と関係しているようです。日本は今、予算編成の赤字分を国債で賄っており、その発行額がべらぼうな数字になっています。つまり、国民によって吸収消化できないので、日銀が国債保有しているのですが、その保有額が今、500兆円に達しているとのこと。早い話、日本がやっていることは、蛸が足を食べ続けるのと一緒で、徐々に体力を弱めているということでしょう。

 一般に債券が売れなければ、ジャンク化してますます借り入れ金利が高くなってしまいます。国債も本来そうなるのでしょうが、政府の力で必死に抑えている。だが、公定歩合を上げれば、必然的に国債金利も上げざるを得ず、その分、日銀保有国債も含み損を抱え、日本国全体の借金の規模がますます膨らむということでしょう。日本は外債に頼っていないし、借金総額は日本国民の所有する総資産額を下回っていないので、デフォルトなどにはならないなどとノー天気に言い、景気が悪くなると、やたら赤字国債でも出して浮揚に努めるべきという意見が国会議員から出てくるけど、小生に言わせれば、危ない説だと思います。

 今われわれがすべきことは、コロナ対策の異常な状態を解除して、早く旧に復する政策を取ることです。財政投入するのであれば、低所得者に一律5万円支給などという安易な策でなく、景気浮揚のための呼び水的な投資にするべきです。

 上の写真は、8月に神田の書店裏の空間で開催されたミニコンサート。こういうエンターテイナーを鼓舞するような策に投資してほしい。