つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

動乱期の日本円高は悪いことか

 英国のEU離脱という国民投票の結果は、正直なところ驚きました。先週金曜日朝、家を出るときには、テレビ報道などは残留の方向性を示唆していました。ですから、当然残留かと思っていましたが、夜、千葉での定例飲み会に駆けつけると、メンバーが「いや、世界はついに安倍首相が言ったような事態になったね」と言うのです。「何のこと?」と聞いたら、「英国のEU離脱だよ」との返事です。そこで初めて大ニュースを知りました。
 先の伊勢志摩サミットで、安倍首相は「今、世界経済はリーマンショック時のような危機に瀕している」と言って、各国首脳のブーイングを受けました。日本は消費税10%上げを延期したいがためにその理由作りとして、世界経済の悪化状況とやらを各国首相に主張し、なんとなく同意してもらう意図があったことが見え見えだったからです。
 実際、1カ月前はそんな状況にはなっていませんでした。消費税延期は景気に関係なく、多分に参院選を意識しての安倍首相の決断だったと推察されます。でも、サミットから1カ月たち、英国が国民投票でEU離脱を決めたことで、嘘から出た誠というか、リーマンショック時並みの”状況悪化”という話は現実のものとなってしまいました。
 日本はこの事態を受けて、急激な円高、株安になりました。動乱期に自国の通貨が高騰することは古今東西決して悪いことではありません。日本円がそれだけ国際的に信用されているという証拠だと思うのですが、世間の反応は芳しくありません。日本は自動車はじめまだ輸出産業が多いから、円高は決してプラスにならないという判断があるからのようです。
 そのマイナス心理によって株安を引き起こしています。株安は企業の含み資産を少なくし、それだけ担保力をなくします。つまり、新たな投資、人件費増にも影響を与えるので、これは本当に困った構図です。それにしても日本の株式市場って、どうして円高イコール株安というステレオタイプの反応しかできないのでしょうか。
 円高は輸入産業にとってはプラスであり、特に、海外依存度ほぼ100%のエネルギーやカロリーベースで6割を海外に頼る食料品の取り扱い企業は潤うはずです。海外投資が増え、日本人が海外に出る旅行業も活況を呈するでしょう。その点がどうして市場に反映されないのか。日本は輸入より輸出の方の規模が圧倒的に多いからでしょうか。
 ところで、英国のEU離脱にょって日本経済への中長期的影響はどうなるのか。英国はそもそもEUへの加盟は遅かったし、ユーロ圏にも入っていません。ドイツ、フランス、イタリア、スペインが抜けるのとはちょっと違うではないかと覆います。その点の話はまた後日蘊蓄を傾けます。

 上の写真は、6月初めごろ泊まった箱根塔の上のエクシブ「箱根離宮」の正面玄関。小学校時代の友人がメンバーであり、仲間6人が集まり、一緒に泊めていただきました。