つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ポピュリスト政治家は危ない

 英国が国民投票でEU離脱を選択したことや、米大統領選の共和党候補トランプ氏が「メキシコとの間に壁を造る」「TPPには反対だ」と主張していることなどを見ると、どうも世界は反グローバリズムに向かっている印象を与えます。一部の国民感情からするとまったく理解できないこともないのですが、何でも自国に壁を造ってしまうことは、長い目で見ると危険性を伴うことです。歴史的必然として、グローバル化は避けられないのではないかと小生は考えます。
 トランプの発言はこのところ、ちょっと勢いが止まってきました。「イスラム教徒は入国させない」などと言っていた過激さを少し修正、メキシコとの壁も強調しなくなりました。これは、共和党の多数派の意見を入れて、若干自説を弱めているのでしょう。まあ、好ましい兆候だと思います。でも、TPPに関しては、相変わらず反対を表明しています。
 トランプにつられたように、民主党候補のヒラリー氏も後ろ向きになっています。TPPは今年初め、やっと基本合意ができ、前向きに進む気配を見せていました。それなのに、言い出しっぺの米国の新大統領が反対ではどうにもなりません。全面的にチャラになるのか、それとも仕切り直しになるのか。いずれにしても、これまでの成果が無駄になってしまうということでしょう。
 EU離脱支持派の英国民にインタビューしたテレビ報道を見ました。北洋漁業に従事している漁民の話です。かつては自分たちが独占的に漁撈してい海域でも、EU加盟で漁獲割り当てができたため、自由な操業ができなくなった、そして漁業で賑わっていた町は衰退したと嘆いていました。確かに、グローバリズムにそういうマイナス面があることは否定できません。
 それでもトータルに見た場合、人や物の自由な流れはプラス面の方が多いと思います。古今東西どの国も、貿易や人の交流で国を豊かにしてきました。日本について言えば、物の流れどころか文化面で中国、朝鮮に学んだし、それらの国からさまざまな分野の技師を招いてセトルダウンさせました。こうしたことが日本をどれだけ豊かにしたか。
 人や物の流れを押しとどめようとするトランプのような人は、時代の必然的な流れに逆らっています。多国間協調主義で一時的に当惑している人、困っている人がいると、彼らの人気を得ようとその場限りの過激な対応策を示す、つまりポピュリストの感じがして好きになれません。政治家はもっと長期的視点から発言し、政策を提示してほしいと思います。

 上の写真は、箱根・芦ノ湖の遊覧船。6月初旬、芦ノ湖に行ったときは晴天に恵まれ、気持ちのいい散歩ができました。