つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

テロはイスラム大帝国樹立が狙い

 今回のバングラデシュダッカ市のレストラン・テロ事件を見ると、世界中に安全なところがないとしみじみ思ってしまいます。と同時に、同地で働く日本人、とりわけその国のために良かれと思って働いている外国人がテロの悲惨な犠牲になるところを見ると、われわれはイスラミックステート(IS)に同情しようと敵対しようと関係ない、彼らは理性や論理が通じない輩なのだということを痛感させられます。
 ダッカで日本人らを襲撃したのは、ISに共鳴する同地の比較的豊かな家庭の若者たちだと言います。そこで注目しなければならないのは、物分かりのいい日本の評論家が良く言う「先進国の豊かさと中東の貧しさの差がテロ発生の原因」などという論拠はものの見事に崩れてしまったこと。つまり、テロリストは豊かさと貧困の差などに憤慨して狂気に走っているわけではないのです。
 では何が原因なのか。恐らくイスラムという宗教に由来することしか考えられません。バングラデシュはご承知のようにイスラム国です。パキスタンと同様、同じ民族性を持ちながら、宗教の違いからインドから分離、独立しました。ISなどとともに、イスラムの大国家樹立を夢見ている人は多いと推察されます。
 歴史を遡れば、中東、西アジア地区を中心にセルジュークやオスマン・トルコ、さらにはムガール、サラセンなどイスラム教徒による大帝国が築かれました。イスラム教徒は概してそういう強圧支配的な大帝国を目指す傾向があり、今もそれを狙っているのではないでしょうか。そういうパラダイムの時代に入ったのだと思わざるを得ません。
 宗教を基盤とした狂信的な好戦主義者が世界に挑戦状を突き付けているのです。となれば、われわれ非イスラムの民主主義国は、この狂信的好戦主義者どもの戦いを無前提に受けて立つ以外に道はありません。ダッカ事件でイタリア人9人が犠牲になったことで、同国のレンツィ首相は「テロリストには絶対屈しない。彼らの撲滅まで戦い抜く」と力強く戦う姿勢を見せましたが、それに比べて「許しがたいテロ。断固非難します」という程度の安倍首相の発言は弱すぎます。
 今は参院選キャンペーン中ですが、いまだにに愚かな左側勢力は「憲法を守れ」とだけ叫んでいます。ダッカ事件を見れば、彼らがいかに現実世界に向き合っていないか、明々白々です。今の憲法の基本的な精神をは維持しながらも、必要に応じて解釈を変えたり、改正したりして、最大限国を守る、日本人を守る手立てを考えるのが政治家の務めでしょう。憲法を杓子定規に守って国が滅びてもいいのか。
 民進党などは今回、自公が前面に出さない憲法改正問題を取り上げ、反対気運を盛り上げようとしています。ですが、イスタンブールダッカや中東で頻発するテロの発生で図らずも安全保障問題がトピックとなりました。安保問題に真面目に対処しようとしない彼らの姿勢が白日のもとにさらされ、かえって彼らの首を絞めているようです。55年体制から離れられない前時代的な政党は一日も早く消え去ってほしいけど、そう望まなくとも早晩消え去る運命にあるでしょう。

 上の写真は、京都・東寺の五重塔