つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

タリバン跋扈で世界はまた”テロの季節”か

 それにしても非情で残酷な手口です。アフガニスタンのカブール空港周辺で起きた自爆テロ事件。この犯人は自分の命を犠牲にして何を達成しようとしたのか、いったいどういう目的があったのか、皆目分かりません。単に大勢の人を殺傷して楽しんでいるとしか思えません。そんなことで大切な命を投げ出せるとは、犯人は何を考えているのか。タリバン同様イスラム教を信じるIS(イスラミック・ステート)メンバーらしいけど、宗教とは本来自分と民の幸せを願うものでしょう。自爆テロなるものが、イスラム教から来る教えだとしたら、そんな宗教はない方が良い。

 この自爆テロで、空港に集まった群衆ばかりでなく、米兵13人と多くのタリバン兵も死んでいます。まさか、外国に逃げようとした民衆を標的にしたわけではあるまい。ということは、犯人は米兵を狙ったのか、タリバン兵か。米兵は今月末でカブールから撤収することが決まっていますから、去ろうとする者をわざわざ標的にする意味はない。では、タリバン兵か。これは大いにあり得る。アフガンでは、ISも一定地域を支配していると言われ、今後全国支配のタリバンとは支配地域をめぐって激しい争いが予想されるのです。

 でも、ISというのもしぶとい連中だ。イラク、シリアでの掃討作戦で支配地域をなくすと、他の中東地域、アフリカ、東南アジアと世界各地に転進。東南アジアでは、フィリピンのミンダナオ島に一時拠点が設けられたとの話もあります。アフリカではソマリアジブチなど多くのところ。もともとアフリカ諸国は自らの軍や警察で国内津々浦々まで支配できるわけではないので、武装勢力が入り込みやすい。中東では内戦をしているイエメン、リビヤなども拠点を作りやすい国です。

 現時点で、タリバンパキスタン、アフガンの外に進出することは考えにくいが、ISやアルカイーダは国際的なテロ組織。世界各地の拠点で訓練を受けた兵士がまた先進国にやってきて自爆テロに及ぶ可能性もあり、そうなったら、われわれはたまりません。1990年代から2000年代にかけて、米国の9・11同時多発テロだけでなく、欧州各国でもテロ事件が起きました。一時下火になっていましたが、今回のカブール空港事件を契機に再び再燃する恐れがあります。

 でも、自爆という手段は、攻撃される側にとって防ぎようのない攻撃手段ですね。今は夏だから、爆弾を体に巻き付けていれば、発見しやすいけど、冬になれば、厚着してそのオーバーか何かの中に巻き付けていれば分かりにくい。日本は中東系の人間が少ないので、街中での不審な行動はすぐに周囲の人に見つかってしまうでしょうが、欧州などはもともと中東、アフリカ系の人種は多いですから、不審者を見つけ出しにくい。となると、またまた”テロの季節”を迎えるのか。

 9・11事件後、米国がアフガンに侵攻し、タリバン政権を倒したのは、同事件犯人らが訓練を受けたアルカイーダの基地をタリバン政権が放置したからだと言われています。米国は二度とアフガン内にテロ基地を造らせたくない、それで今回、米軍撤退前にタリバン側と協議し、「お前らの支配を許容するけど、二度と国際テロ組織の拠点は造らせるな」と念押ししたものと思われます。だが、ISもアルカイーダもタリバンも、イスラムスンニ派原理主義者が集まった集団。いずれもキリスト教国、ユダヤ教国とは敵対するので、再びひそかに手を結ぶこともありえるのです。

 かつて欧州でテロがしばしば起きた時に、日本国内でも「厚着をしたアフリカ、中東系の人を見たら近づかない方がいい」とまことしやかに言っていた人がいました。こう言ってはなんですが、幸い日本はキリスト教国ではなく、イスラム、中東から来る人種も少なく、目立ってしまう。という観点から、欧米などと比べて比較的国際テロ組織に狙われにくい国かも知れません。ただ、一般的に日本人は平和ボケしているので危険察知能力が低いのが玉に瑕なのです。

 銀座か新宿かどこかは知りませんが、ある日、自爆テロリストが繁華街でドカンとやって巻き込まれたとしたら、まさに犬死です。だから、繁華街で悲壮感を漂わせて、不気味に周囲を窺う「厚着の中東人」がいたら、用心に越したことはありません。

 上の写真は、野毛山動物園にいるコンドルと赤い鳥。