つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

自分の国、領域はそこに住む人民が守るべき

 プロ野球の話題から再びアフガニスタン情勢に戻ります。カブール空港では相変わらず逃亡希望の民が集まって、機会をうかがっているようです。それで、しみじみ思うのですが、言ってしまえば人民に敵対する北九州・工藤会のような広域暴力団、人権無視のタリバンという武装勢力が支配しようとしているのに、なぜ戦わないのか。本当に20年間の政治制度が素晴らしいものだったと人民が理解し、大事にしたいと思うなら、なぜ踏みとどまってそれを守ろうとしないのか。いやな連中が来たら、ひたすら逃げればいいんですか。冷静に考えれば、そういう疑問が湧いてきて仕方がありません。

 ある評論家が書いていました。自分の国、領域を体を張って守れないような人民がいる国、領域をどうして外国の軍隊が犠牲者を出してまで守ろうとするのか。まず自分のことは自分でやるのが先だろうって。まったくその通りですね。ある国、領域で素晴らしい政治制度、社会が築かれているとの信念を持つのなら、そこに住む人間はたとえ何人かが犠牲になっても、その素晴らしき制度と、その制度下にある領域(土地)を守り抜かなくてはなりません。

 最近、ミャンマーでは、クーデターを起こした独裁的な軍部政権が人民を無差別に殺傷、弾圧しています。さすがに民主制度を守ろうとする若者たちは、一方的に撃たれるだけではいられません。22日の日曜日の特番「NHKスペシャル」を見ると、一部の者は、国軍と対抗する辺境少数民族武装部隊の元に駆け付け、一緒に国軍と戦っているし、また別の一部の者は銃を手に取って、街中でデモ、集会に攻撃しようとする国軍に反撃を始めています。寸鉄を帯びない人民に武器を向けて来るなら、それに力で対抗するのはごく自然の選択でしょう。

 毛沢東はかつて「政権は銃口(鉄砲)から生まれる」と言っていました。相手が独裁的な政権であれば、武力でしか望ましい制度を勝ち取る方法はないのです。アフガニスタンの政府、男どもは、20年間、いったい何をしていたんでしょうか。イスラム原理主義タリバンに対抗するなら、「選挙による支配者の選択」「イスラム法でなく一般法の支配の必要性」「女性の人権を守るべき」というような西側民主主義の政治制度、価値観の素晴らしさをきっちり人民の体に叩き込み、体を張って守っていく気概を持たせるべきだったのです。

 これは、嫌な勢力に武力で権力を奪われそうな国家とその民の視点での話。もう一つ重要なことは、米国が「世界の警察官」を止め、アフガニスタンを見放したという視点からの話。米国からすれば、自国民を守ろうとしない政府、軍隊を助けたくないと思うのは分かるけど、アフガンの事態を見て、米国と軍事同盟関係を結んでいる多くの国ではまた、米軍への信頼感が薄れたことも事実です。

 例えば、東南アジア。米比相互防衛協定があるフィリピンを除いて、今、米国と明確な軍事同盟関係にあるところはないのですが、中国が強権的な介入姿勢を見せてきたら、米国に支援をお願いしたいと思っていたところは多かったと思います。しかし、今回のカブール空港の光景を見て米軍に対する信頼度をかなり落としたことと思われます。日本でも、尖閣諸島有事があったら、日米安保条約第5条によって米軍が無条件に支援してくれると信じている人は多いと思いますが、その信念も若干揺らいだことは否めません。

 結論的に言えば、他国と安保条約、相互支援条約を結んでいても、これに100%頼らない方がいい。天は自らを助ける者を助けるというように、最後は嫌なものに対抗するには自分の力に頼るしかないのです。日本政府も、米軍が尖閣諸島防衛を約束したとか安易に言うべきでない。アフガンの情勢を肝に銘じて、他に頼らない、断固自主防衛の方策を練っておくべきです。

 上の写真は、横浜・馬車道通りにある県立歴史博物館、旧横浜正金銀行本店。

https://www.youtube.com/watch?v=L7Kh8ys735g

 ショスターコビッチのファースト・ワルツ。セカンド・ワルツの方が有名ですが、ロシア美人が出る映像を見るだけでいい。