つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

バグダディー殺しても、危険が去ったわけでない

 米軍というのは結構、執拗に敵を追いかけるものなんですね。イスラム国のアブバクル・バグダディー容疑者がシリアのアジトにいたところを米軍の特殊部隊が急襲し、死亡させました。バグダディーはあの過激派集団「イスラム国(IS)」のリーダーですから、彼の死で世の中は一応平和になった感じがします。得意満面で発表したトランプもそう思っているのでしょう。でも、これで一件落着でしょうか。ISの連中はすでに世界各地に飛んでおり、悩みは尽きないと思います。

 小生、昨日、テレビの速報でこのニュースを見た時、まず率直に驚いたのは「えー、バグダディーって、まだ生きていたのか」ということ。これまで何回も死亡説があって、米軍もそれを信じていたのだと思っていました。噂を信じることなく、オサマ・ビン・ラディンの時のように、しつこく彼を追っていたんですね。特殊部隊に追い詰められ、バグダディーは身体に巻き付けていた爆弾を破裂させ、死亡したと言います。撤退間近の米軍があきらめることなく彼のアジトを見つけたとは素晴らしい。改めてその情報網のすごさを見直しました。

 2つ目の驚きは、バグダディーがいまだにシリアにいたこと。確か、彼が殺されたのは、シリアのトルコ国境に近いイドリブ県ですね。最近まで、シリア政府軍と反政府軍クルド軍とトルコ軍の攻防戦があったと言われていたところです。もう2,3年前に、ISは中東から一掃されたとの報告がありましたから、バグダディーも恐らくアフガニスタンタリバン支配地域辺りに逃げているのではないかと、小生も勝手ながら推測していましたが、どっこいまだそんなところにいたのかという感じです。

 これで世界は安泰になったのか。もともとバグダディーはアブムサブ・ザルカウイ容疑者が作った組織を引き継いだ男で、一応「IS」というを国家樹立を宣言したのも指導者になってからの彼。ですが、ISは一時、シリア、イラクにまたがる広大な地域を支配していたのですから、彼一人の力でできるわけがない。下には狂暴な男たちがうじゃうじゃと雁首をそろえています。彼らは掃討作戦を受けて海外に逃亡し、その行き先はアフガン、タイ南部、フィリピン、アフリカなどと言われています。

 米軍などの掃討作戦によって、却ってハチの巣をいじったように、ハチは全世界に拡散してしまったのです。これが日本にとってどうなのか。東南アジアは日本とも近いし、すごく嫌な感じがあります。インドネシアスマトラ島やフィリピンのミンダナオ島は今でも、イスラム過激派の素地があるところですが、こうした地域も日本の一部企業が関係しているかと思います。心配です。かと言って、ISを中東にとどめ置いた方がいいとも言えません。ペルシャ湾に行くタンカーや紅海の船も安心できないでしょう。

 欧州にしてみると、シリアやイラクから難民が出続けては困るし、テロの対象にもなりかねません。それでも、米軍はシリアから撤退するようです。ザルカウイ、バグダディーを殺したことで、一応危険の芽を絶ったということでしょうが、事はそう簡単でないでしょうね。いずれにせよ、テロ集団に対しては、西側諸国、中ロもなく、結束して事に当たることが必要だと思います。

f:id:higurashi-takanori:20191024111113j:plain

 上の写真は、五反田のROCの展示会で見たレリーフの飾り物。