つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

シリア空爆は中国、北朝鮮をにらんだものか

 7日は午前中から外出、夜多く自宅に戻り、夕刊を見てびっくり。米軍がシリアを空爆したというおどろおどろしい見出しが躍っていたからです。一見、イスラミックステート(IS)を本格攻撃したのかと思ったのですが、良く読むとアサド政権側の軍用飛行場を爆撃したとのこと。トランプ政権はロシアとの関係改善を目指していたのに、なぜロシアが支援するシリア政権側を攻撃するのか。その意外な展開は今でも十分理解できません。
 シリア情勢は実に複雑です。アラブの春ジャスミン革命の影響でシリアの反体制勢力がバッシャール・アサド独裁政権を倒しにかかりました。アサド政権はどちらかというとイランやヒズボラレバノンの一組織)と同じようにシーア派系。それに対し、反体制派はサウジアラビアなどイスラム多数のスンニ派の支援を受けており、この内戦は半ば宗派対立になったのです。
 ところが、そのスンニ派反体制勢力の一派だったISがにわかに力をつけ、独自の勢力圏を確保し、シーア派首相が支配するイラクまで領土拡張を図ってきました。ISは実に凶暴で、略奪、強姦、リンチと支配地域でやりたい放題。最初は反体制派を支援していた欧米諸国も見過ごすことができなくなり、当面アサド政権つぶしを控え、ISを主たる敵として攻撃を集中させたのです。
 つまり、シリア国内はアサド政権と反体制派、さらにISの三つどもえの戦い。その上、国境を接するイラク国内では、シーア派の政権側とスンニ派のIS、さらに長い間独立を狙っているクルド人が入り乱れて半ば内戦状態にあります。中東の国々の国境線は、もともと植民地にしていた西洋諸国が強引に引いたもので、その地域の民が納得したものではない。そこで必然的に、民族、イスラム各宗派が入り乱れての対立、争いが起きてしまいました。
 それはともかく、ロシアとの関係改善に逆行するような米軍のアサド政権攻撃はなぜなのか。サリンという化学兵器大量破壊兵器を使ったことが許せなかったようですが、それにしてもサリン使用が明らかになってわずか3日後の攻撃です。あまりにも性急過ぎます。また、トランプ大統領がフロリダで習近平国家主席と首脳会談をしている最中の出来事であっただけに、何か特別の意図も感じてしまいます。
 首脳会談で、米国は北朝鮮問題に関し、「中国が北朝鮮に有効な措置を取らない限り、米国独自の実力行使もありうる」ということを中国側に宣言しました。米国はフリーハンドを得たので、いつでも北を攻撃できるということです。そこで、まさに首脳会談時でのシリア攻撃を読み解くと、これは中国、北朝鮮に対する意味あるメッセージなのかも知れません。
 中国は今後、本気で北朝鮮の説得にかかることになるのか。北はどう出るか。トランプの脅しに屈せず、相変わらず強気の姿勢を続けるのか。不謹慎な言い方かも知れませんが、今後の展開はたいへん興味のあるところです。

 上の写真は、群馬県草津温泉で河原に温泉が噴き出す「西の河原」。