つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

もっともらしい意見、実は何も語っていない

 英国がシリアへの空爆開始を開始しました。英国はこれまでイラクのイスラミック・ステート(IS)基地には空爆していましたが、シリア領内は抑制していました。シリアまでの拡大に野党労働党の党首は議会で反対演説をしていましたが、議決では野党側からもシリア空爆賛成票が出て、圧倒的な多数でキャメロン首相側の提案を是としています。
 ISによるフランス・パリへの同時多発テロは、同国のみならず欧州全体を恐怖に陥れました。が、だからといって触らぬ神に祟りなしとばかりに逃げ腰の日本などと違って、欧州各国は敢然とISと対決する姿勢を見せています。日本と同じ第二次大戦の敗戦国であるドイツですら、直接空爆には加わらないものの、後方支援部隊1200人ほどを派遣する考えを示しています。
 安全保障は国家の大事であり、本来は国内の何党であってもおろそかにできないし、政党の枠を超えて意見の集約を図っていくものだと思います。それが日本に限って言えば水と油の状態。かつての民主党政権は、沖縄普天間基地辺野古移転でごちゃごちゃ言い、ほぼ決まりかけていた移転計画を中途でつぶし、かつ野党になってからは安保法制にもいちゃもんをつけました。なんとおろかな政党であることか。
 でも、一部のマスコミ報道ももっとひどい。先般、報道ステーションを見ていたところ、北海道大学の準教授なる男が出てきて、フランスがISテロの報復とみられるシリア空爆をした実施したことについて、「空爆によって多くの民間人が死ぬ。報復の連鎖からは何も生まれない」とだけコメントしていました。一見もっともらしいし、主婦受けしやすい論調です。
 でも、よくよく考えてみると、この学者は何も語っていないに等しい。というのは、再びISのテロを引き起こさせないためにはどうしたらいいのかについては何も触れておらず、ただ負の部分を強調しているに過ぎないからです。彼のような意見、半可通のジャーナリストが言うならまだ分かるけど、国際政治を学んだ学者が語るべきコメントではないでしょう。
 じゃ、聞きたいのですが、第二次大戦前にヒットラーチェコズデーテン地方を強制併合したことで欧州4か国によるミュンヘン会談が開かれ、英仏は譲歩してこれを認めました。でもそれがあだとなって1年後にドイツはポーランドに侵攻したため、英仏は直ちに宣戦布告をしています。北海道大学の先生は、ドイツのポーランド侵攻があっても戦争は民間人が犠牲になるからするなという意見なのでしょうか。侵略者やならず者は報復の連鎖など関係なく来るときは来るものなのです。
 パリの中枢部がテロに遭えば、これは立派な宣戦なき戦争開始行為です。社会主義者のオランド大統領もこれは戦争だと言っていました。相手は国でなく、非対称の武装勢力ですが、その連中が跋扈する地域は断固としてたたき、最後は地上戦で掃討するしかありません。第二次大戦の連合国もドイツに対しそうしたではないですか。歴史を参考にすべきです。

 上の写真は、深夜特急サンライズ出雲」B寝台の切符。記念すべきものですが、出雲駅で取られてしまいました。