つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

真珠湾訪問はトランプへの圧力かも

 今年末に安倍首相とオバマ米大統領がハワイで会談し、その際に両者で真珠湾基地を訪れることが決まりました。このニュースを聞いて我ながら驚いたのは、日本の現役首相がこれまでただの一度も真珠湾を訪れていないということでした。何が理由だったのか。何をためらっていたのか。米大統領が広島、長崎を訪問するまでできないということだったのでしょうか。
 真珠湾には小生も二度行っています。10年以上前の最初の時は、渡船に乗って戦艦アリゾナの沈んでいるところの記念館まで行きました。海面を見ると、海中から数秒ごとに石油の液が海面に浮き上がってきます。説明では、爆撃を受けて沈んだ海底のアリゾナからずっと出続けているとのこと。60年以上の油が艦船の残骸から漏れ続けるというのは、何だか信じられなかったですが、、。「アリゾナで死んだ人の涙では」などという比喩もありました。
 米国政府は日本軍の真珠湾攻撃を「宣戦布告前のSudden Attack」として非難、これが米国民を鼓舞し、戦争気運を高めていきました。米国というのはいつもそうで、第一次世界大戦の時も米国人の乗ったイギリス商船がドイツのUボートに撃沈されたというのを理由に参戦しましたし、米西戦争でもスペインから先に攻撃を受けたとして報復に出ています。米国はいつも西部劇の世界。相手に先に銃を抜かせておいて、あとで報復的に戦争を仕掛けるのです。
 冷静に考えれば、日本海連合艦隊の大機動部隊が北方四島択捉島単冠(ヒトカップ)湾を発進したあと、太平洋を南下し、一路ハワイに向かっていることをレーダー網の完備した米軍が知らなかったはずはありません。どうもルーズベルト大統領は先に日本軍に攻撃を仕掛けさせるため、知らなかった振りをしていただけではないのかとも言われています。その証拠に、攻撃当時、最重要攻撃目標である米空母は真珠湾に一隻もいなかったのです。
 それはともかく、オバマ大統領が今夏広島を訪れましたが、それを引き取るように日米の開戦の端緒となった真珠湾を日本の首相が初めて訪れるのは素晴らしいことです。オバマ氏も同行するとのこと。日米が怨讐を越えて再度肩を組み合うようで、同盟の絆が深まった印象を与えます。中国の脅威におびえるアジア諸国には大きな力となりましょう。オバマと安倍はそういう意図を込めてこの年末にこの訪問を計画したのだと思います。
 いや、もしこの年末の日米首脳会談と真珠湾訪問を日本の安倍サイドで思いついたものであったとしたら、発想者は大金星です。ともかく共和党保守派に日米同盟の重要さを喚起させ、トランプ包囲網を作り上げることになるからです。これでトランプ新大統領が日本側の基地負担の少なさなどを理由に日米の絆を断ち切ろうとしても、もはやできない相談でしょう。トランプ就任前に着々と布石が打たれています。

 上の写真は、小生が通う大学の近くにある市川・日蓮宗弘法寺境内の紅葉風景。