つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

菅は内閣不人気を「二階降ろし」にすり替えた

 庶民はコロナ、コロナで苦しんでいる時ですが、永田町では、菅内閣の不人気を受けて、政局熱が高まってきています。最新情報を基にすると、菅総理は二階幹事長に直接談判し、幹事長職を辞するよう求め、9月早々に党役員の一新を図ることを決めました。その一方、野党側から要求が出ていた9月中の臨時国会開催にも応じないとのこと。これはどういう意味かと言うと、菅さんが総裁選挙の前に国会召集して突如解散するという挙には出ない、9月は17日告示、29日投開票の総裁選スケジュールを粛々と進めるということです。

 ユーチューブの政治解説サイトを見ると、「9月の魔の4日間」という言葉が飛び交っていました。コロナの非常事態宣言が9月12日に終わるが、常識的にはこの宣言期間中に国会召集はできない。17日になれば、総裁選の告示日になるので、これ以降も無理。菅総理が負けるかも知れない総裁選を避け、その前の総選挙断行を決意し、臨時国会を召集して解散をするとしたら、13日-16日の4日間しかないということ。一方、野党側は菅総理の不人気の”顔”で総選挙に突入してもらいたいから、魔の4日間での解散は大歓迎。盛んに菅さんの決起を促すため、9月早々の国会開催を求めていました。

 でも、多くの自民党議員、特に当選3回以下の若手議員は今の不人気のままで選挙をやってほしくない。そういう声を受けて、菅総理も9月の解散はあきらめました。その代わりに二階氏の首を挿げ替えることに戦術方針を変えたようです。自民党がひそかに全国党員に対し行った調査によれば、党員の一番の要求が「二階を替えろ」ということだったとか。幹事長はじめ党役員を小泉進次郎河野太郎、さらには女性議員のような庶民人気の高い人に替えたら、菅内閣支持率も盛り返すのではないかとの読みが菅総理にはあったようで、現在、そういう方向にまい進しています。

 菅の対抗馬になる岸田文雄は先日の出馬記者会見で、露骨に二階幹事長降ろしを言っていました。菅の最大支持層である細田(安倍)派、麻生派も、党の人事、金を長い間壟断していた二階幹事長の辞任を望んでいるところなので、岸田は反二階を強調してこの両派に擦り寄ろうとしました。それを察知した菅は直に二階と接触、二階降ろしを画策。岸田の標的を奪い、焦点をぼやかすと同時に、安倍、麻生の勢力を確実に自分のところに引き付ける狙いがあったのでしょう。菅もなかなかの策士。

 今、菅と岸田の一騎打ちで総裁選が行われたら、フルスペック方式であっても「総得票数は自分の方が有利」という読みも菅さんにはあると思います。ただ、総裁選までまだ1カ月もあり、不確定要素が多過ぎる。出馬は菅、岸田だけとは限らない。高市早苗石破茂はどうするのか、さらには麻生派の次期派閥継承者河野太郎は出ないのか―などなど。国民人気が高い河野が出馬するならば、安倍、麻生両派の議員の中には、自らの当選を最優先に考えて、派閥の締め付けを越えて河野支持に回る人も出てくる可能性もある。派閥単位で必ずしも菅一本でまとまらないでしょう。

 スケープゴートになりそうな二階はこのまま黙っておとなしく引き下がるのか。そうは思えません。彼の”隠し球”は小池百合子都知事です。それには政界全体の地殻変動が伴ないますが、野党側にも小沢一郎という策士がいます。かつて新生党という新党を作り、自民党を下野させた旧竹下派の同志です。二階―小沢ラインが手を結び小池担ぎ上げを図ることも十分考えられます。あるいは、そういう脅しをかけることで、自民党に完全な二階外しをあきらめさせ、副総裁などのポストを用意させることがあるのかも知れません。

 一方、自民側も「日本維新の会」との提携を模索するかも知れません。菅総理は特に、松井大阪市長ら維新幹部と仲が良いので、総選挙では維新に自民批判派保守の受け皿となってもらい、選挙後は連立という形で権力側に引き入れる可能性もあります。今の政局は一寸先は闇、魑魅魍魎がうごめく世界です。

 上の写真は、横浜・関内駅地下ショッピングセンター「マリナード」にある円柱のしゃれたデザイン。