つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

野田聖子が総裁選に出た理由が分からない

 自民党の総裁選で、告示日の前日になってようやく推薦人を得て、候補者に名乗りを上げた野田聖子って、果たして何を目的に、何の狙いで出てきたんだろう。不思議でなりません。告示日の前日にやっと20人の推薦人を集めたくらいですから、本選の国会議員投票でも恐らくそれ以上の支持者は集まらないと思います。では、党員・党友に受けるのかと言えば、そんなことは金輪際ないと思われます。

 他の3人に比べれば、非常に地味だし、訴える魅力ポイント、技量や力もない感じです。どう予想しても、4人のうちのビリになることは確実です。となると、なんで候補者になったのか。なんで無理して出てきたのか、さっぱり分からない。明らかに後塵を拝するのは分かっているのにオリンピックに出てくる小国の選手のように、単に「参加することに意義があると思っている」のか、「議員生活の記念に」程度のことなのか。

 野田は過去の総裁選にも出馬意思を示しながら、ずっと推薦人の数が足りなくて断念してきました。でも、今回はどうやら20人は確保したのです。ですから、だれが推薦人になったかが注目点で、彼女の今回出馬の意味を探る上で非常に大きなヒントになると思います。人数が足りない時に最後に名前を貸したのは二階派の議員らしく、同派の都合8人が推薦人になっています。鶴保庸介は野田と事実婚状態にあった元夫なので、助太刀する義理があったでしょうが、その他の推薦議員は、親分二階幹事長のそれなりの”指示”があったのではないかと推察されます。

 では、野田が出馬することで他の候補への影響はどうなんだろう。女性候補という共通点から高市早苗が影響受けそうな感じがしますが、高市と野田では主張する政策がかなり違う。高市は国家観がしっかりしており、経済政策もサナエノミクスとか言って「3本の矢」を示し、経済安全保障にも言及しています。野田にはそれがない。主張の内容も「子供が真ん中」以外、ほとんどアバウトなもので、強く有権者に訴えるものはない。何だか、にわか作りの政見のような感じがしてなりません。ですから、野田の出馬で高市は影響を受けないと思われます。

 岸田文雄はどうか。岸田の最近の演説を聞くと、安倍、麻生の大御所への配慮か、「自由で開かれたアジア太平洋」構想にも言及し、安全保障政策、天皇継承問題などでかなり右寄りのスタンスを取っています。これは、野田の主張が比較的野党寄りのマイルドな印象があるので、同一視されてはまずいとばかり、右旋回したこともあるのでしょう。そういう意味では、岸田のスタンスを変えたという点では、野田の出馬が若干影響を与えたということになりましょう。

 岸田よりもっと影響を受けたのは、河野太郎ではないでしょうか。彼は、原子力発電反対とか選択的夫婦別姓賛成女系天皇承認とか、比較的野党寄りの政見を持っていました。ですから、自民党内でも安倍、麻生ラインの超保守を嫌う中庸な人たちの支持を受けていましたので、同じくマイルドな野田の出現で中庸の支持が分散されそうな状況になっています。という意味では一番影響を受けるのは河野でしょう。

 二階が派閥議員を野田に貸したのはどういう理由か。彼は、自分の幹事長降ろしに熱心な安倍・麻生ラインに反発しています。ですから、今回の総統選で安倍が後ろ盾の高市は拒否しているし、安倍、麻生が高市が駄目な場合のセカンドチョイスとして岸田を推していると言われるので、二階からすれば岸田も推せない。メディアによれば、二階は結局、河野を支持するのではないかと言われているのです。となると、二階派の議員が野田の推薦人になって、河野の地方票を食いそうな状況を作ったことは、大いなる矛盾。ある意味贔屓の引き倒しになりはしませんか。

 野田の現在の夫が山口組会津小鉄会の元暴力団員であることは有名な話。すでに名誉棄損事件の判決で裁判所が認定しています。万々が一、野田が総理になって外遊した場合、随行する夫、つまりファーストジェントルマンが「マフィアのメンバー」では大いにまずいでしょう。きっと海外メディアにたたかれるに違いありません。いや、総裁にならなくても、ネットなどではすでにその件が蒸し返されています。そういう荒さがしは簡単に予想されることなのに、それでも野田が総裁選に出たがる理由が本当に分かりません。

 上の写真は、我が家に来た自民党総裁選選びの投票用紙。自民党の機関紙に原稿を書いているので、一応「党友」になっています。