つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

国会議員は”家業”であった方がいいのか

 前回ブログで登場を願った健康食品会社の社長と話していて、政治家の二世、三世の話になりました。岸田文雄新総理も、祖父の正記氏、父親の文武氏と3代にわたる政治家一家です。振り返って見れば、自民党の総理は菅義偉前総理以外、安倍晋三麻生太郎福田康夫小泉純一郎森喜朗小渕恵三、橋本竜太郎とすべて父親が政治家。中でも安倍、麻生、福田は父か祖父が総理経験者です。今、自民党議員では政治家が”家業”になっている傾向が強まっています。

 実物の政治家の恰好をするお笑い集団「ザ・ニュースペーパー」で、小泉純一郎のマネで出てくる人がなかなか面白いことを言っていました。「我が家の進次郎を二世、三世議員などと一緒にしないでほしい」。聴衆が「え、なぜ」と思うと、偽元総理は透かさず「進次郎は四世議員なんだから」と笑わせるのです。確かに、小泉家はひい爺さんの又次郎氏は郵政大臣経験者。爺さんの純也氏は又次郎の娘婿だが、元防衛庁長官(閣僚)。そして父親が元総理。そういう家系であるから、4代目も若い時から注目されるのでしょうか。

 進次郎氏以外でも、福田康夫の子、達夫氏が衆院当選3回と政治家としてはまだ駆け出しであるのに、今回、党総務会長という要職に就きました。これも「党風一新の会」会長として3回生以下の議員80人以上をまとめ、参加議員を岸田になびかせたという手腕が評価されただけでなく、祖父、父親の威光があったことは否めないでしょう。現在の細田派はもともと祖父の福田赳夫が作った派閥ですから、オーナー家の”坊ちゃん”ということで、将来達夫氏が継ぐ可能性が高いのかも知れません。

 同じように、今回総裁選の最中に亡くなった竹下亘氏が、兄の登元総理が作った派閥「竹下派」の領袖に収まっていたのは、これまた血のつながりの影響が大です。その亘氏は生前、「将来、派閥のトップは小渕優子に継がせたい」と言っていたとか。彼女の父親はご承知のように恵三元総理ですから、竹下亘の発言も明らかに小渕の父親の存在を勘案したものと言えましょう。元総理、元幹部の家系であることは、政治家の人格、能力をも凌駕する重要な条件、”箔”とも思えてしまいます。

 河野太郎氏の父親、洋平元衆院議長は総理にはなれなかったが、一時期、党総裁でありました。祖父河野一郎首相候補にもなった党の実力者だったし、大叔父河野謙三も元参院議長ですから、太郎氏が今回総裁候補にもなったのも、家系の恩恵を受けていたことは間違いありません。橋竜の子供はすでに政治家であり、麻生の子供も将来父親を継ぐとか。そう見ると、マラソン競技で言えば、一般議員が41.195キロ走るのに、幹部の政治家の子弟だけは、後半の10キロ程度の走路で済むような感じがしてなりません。

 一般人、それがいかに優秀な官僚、ビジネスマンであっても、国会議員を目指そうとした場合、その決意の時期が世襲議員に比べて遅れ、かなりの歳になっていることでしょう。しかも、名前(特に姓)が知られておらず、永田町での政治資産がないので、いくら努力しても総理という最終ゴールまで行きつくのは至難のことです。そういう視点で見ると、菅さんは東大法のような優秀な大学の出身者でもないのに、衆院議員秘書から横浜市議を経て衆院議員となり、総理まで駆け上がったのは実に立派です。

 恵まれた家系を持たない小生からすれば、やはり親の七光り世襲議員というのは感心しないなとずっと思っていました。ところが、冒頭に紹介した健康食品会社社長は「いや、むしろ政治家は世襲の方が良い」と言う。政治家の子供は、幼いころから政治家の家庭環境を知り、父親らの努力を見ているので、なじみやすい。また、地盤、看板、カバン(金)があれば、若い時から無理な金集め、つまり悪いこともをしなくとも当選しやすい。国家経営のことだけを考えていられるから望ましいと社長は指摘するのです。

 確かに、一理ある考え方です。職人の子供が父親の仕事を身近に見て、同じ職業を継ぐことはよくあること。それを考えたら、政治家が”家業”になり、子供が引き継ぐのも自然かとも思ったりします。海外を見ても、中国国家主席習近平は父親が元副総理、カナダのトルド―首相やシンガポールのリー・シェンロンも父親が首相でした。ましてや、北朝鮮や、中東の独裁国にはよくあるケースです。そうは思っても、何代にもわたる世襲は何か釈然としないところが残りますが、、。

 上の写真は、横浜・桜木町の野毛飲み屋街にある店の看板。印象的であり、やはり看板は大事です。

飛んでイスタンブール 庄野真代 -

若い時に好きだった曲。3年ほど前にトルコを旅行した時、ずっと口ずさんでいました。