つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

菅氏、やはり”番頭”でトップになりにくい人

 今日、菅総理が次期自民党総裁選に出馬しないと言明して、総裁選、すなわち次期総理選びはますます混沌としてきました。菅は、内閣支持率に出てくる国民人気だけでなく、党内人気も上がらない、まったく党最高権力者の威光が通じない、ひょっとすると岸田文雄にも負けるかも知れないということが分かったので、辞めざるを得なかったのだと思います。彼の腹の中には、起死回生の策として、今月中旬の電撃解散を狙っていたのでしょうが、党内基盤がなく、力を発揮し得ない総理が解散権を振りかざしても無理です。

 確か昨年の暮れごろだったか、自民党神奈川県連の重鎮に菅総理の評価を聞いたことがありました。「彼は地元選出なのだから、頑張って欲しいね」と言うのかと思ったら、豈はからんや、「彼は何で総理など引き受けたのかね-。彼は番頭タイプなので、その職ならうまく運営できるけど、トップになるような人じゃない。口下手なので発信力がない。そのうち野垂れ死にするのでは」と話していたので、びっくりしました。でも、事実、その通りになってしまいました。

 自民党は今年夏、不特定多数を相手に全国で動向調査を実施しています。実は内人も調査対象となり、テープ音声で支持政党、自民党に入れるかなどを聞いてきたと言います。この調査結果は各議員に配られるので、各議員は地元でどのくらい支持があるか分かるのです。菅は恐らく、その結果を見て唖然としたと思います。実は、小生が住み、菅の選挙区でもある神奈川2区では今度、立憲民主党から女性候補が出ます。この人は前に神奈川3区から出馬し、現職の小此木八郎を破って当選しているくらいに人気度が高い美人の元衆院議員です。

 あるいは、菅は立憲候補に負けているという支持率調査結果を見て、下手をすると、自分が総選挙で落ち、議席を失うことを心配したのかも知れません。神奈川2区は都市型選挙区で選挙民が変わりやすいし、無党派が多いところ。であれば、”風向き”次第で現職総理も落ちる可能性は十分あり得るのです。総理のまま総選挙を突っ込んでいっても、総裁選に出ても勝ち目はないばかりか、国会議員の座も失うのでは、さすがに彼自身も耐えられないでしょう。で、この際、身を引いて自分の選挙区に張り付き、選挙民の同情票を得た方がいいという判断があったのかも知れません。

 よくよく見ると、菅総理に決定的な失策はありません。携帯電話料金は引き下げたし、不妊治療の保険適用もやりましたし、各省庁でばらばらだったデジタル方式を一本にまとめるため「デジタル庁」もつくりました。コロナ対策は現行法制度の中ではだれがやっても同じだし、ワクチンの供給量不足は、日本政府の問題というよりむしろ供給会社側の問題でしょう。ではなぜ、こんなに不人気になってしまったのか。それは、前のブログで書きましたが、彼は東北人独特の口数が少なく、その上方言を避けるために口ごもる傾向がある。つまり口下手がかなり災いしていると思います。

 口調も単調。「そうしたことは…」を「「そしたこと…」と言うように、しゃべりがワンパターンで、気持ちが伝わってこない。いっそのこと、名古屋市長の河村たかしのように方言(東北弁)丸出しで語りかけたら、もっと説得力があったのではないか。さらには、発言中は能面のように無愛想で、笑顔が全然見られません。世の中が大変な時にこそ、トップが「大丈夫、大丈夫」と目力強く笑顔で語りかけたら、多くの人は納得したはずです。官房長官なら不愛想でいいのかも知れませんが、トップであればそれなりの発信力が必要です。

 菅の退場で総裁選は俄然面白くなりました。岸田、高市早苗のほか、麻生派河野太郎竹下派茂木敏充も出るかも知れません。恐らく、安倍、麻生派に嫌われている石破茂は推薦人確保が難しく、出にくいのではないか。いずれにせよ、候補者同士で論争し、選挙戦を盛り上げて欲しい。われわれはコロナ禍で自宅にいることが多いのですから、そういう楽しませてくれるテレビ討論を期待します。

 上の写真は、日本橋福徳神社前。この近くに友人が住んでいて、非常事態宣言中で恐縮ですが、4人が友人宅に集まって一杯やりました。

ガロ 「学生街の喫茶店」 - YouTube

 学生時代に聞いた思いで深い曲。