つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

AIIB創設国参加見送りは正解だ

 中国が主導して設立しようとしているアジアインフラ投資銀行(AIIB)に関して、創設国として参加するかどうかの意思決定期限が3月31日まででしたが、日本は結局、米国とともに創設国参加を見送りました。維新の党の江田代表は「参加すべきだ」などと発言していましたが、こうした意見はむしろ少数で、民主党辺りからも強い参加意思は出ず、国会議員、行政レベルでは、創設国参加見送りは大方の意見になったようです。
 欧州諸国、ASEAN西アジアなどがAIIB創設国に参加し、日米がマイノリティーになってしまったのは、悲しいかな事実です。小生は毎月毎週、香港の雑誌、週刊誌、日本の華文新聞を欠かさず見ていますが、彼ら(大陸、香港とも)の見方は「日米はなんとばかなんだ。英、仏、ドイツに笑われているぞ」といったもので、日米が少数派になったことについて揶揄し、鬼の首でも取ったようにはしゃいでいます。
 しかし、よくよく考えれば、AIIBの実体も先行きもよく分かりません。日本政府が恐れていたように融資基準がいい加減で、再三の問い合わせに対しても確たる基準を示してきませんでした。つまり、運営主体はあくまで中国になるので、融資先や融資額などで恣意的になる可能性大なのです。しかも、もし日本が創設国にあれば、多額の出資金を取られることになるでしょう。出資金が多額で、かつ中国の思うままでは、我が国にいいことはありません。小生も、AIIB創設国参加見送りは正解だったと思います。
 中国がAIIBを創る狙いは、米国主導の世界銀行国際通貨基金IMF)、日本が影響力を発揮するアジア開発銀行(ADB、本部マニラ)の力を削ぎ、経済面でも中国が確固たる地位を築きたいということでしょう。でも、よくよく考えれば、人民元はいまだ自由な資本取引を許しておらず、国際的なハードカレンシーになっていません。そんな国が果たして金融面でリードできるのかという率直な疑問も出てきてしまいます。
 欧州諸国は、中国との経済的なつながりを強めていますから、投資や貿易をする以上はおつきあい程度にAIIBに出資しようというハラだと思います。ASEAN西アジア諸国は、自国の開発資金として、最大の出資国になる「金持ち大国」中国の資金に期待しているのでしょう。その意味では、これまでアジア諸国の期待値が高かったADBがマイナーな存在に追いやられるのは、日本人としてちょっとやるせない気持ちです。
 米国がかつて軍事大国と同時に、世銀やIMFの金融面で世界への影響力を発揮したように、グローバルパワーになるには政経双方の力が必要です。中国はそうした遠望戦略に立ってAIIBを創り、特にアジア方面ではAIIBを武器に発言力を強めようとしています。ASEAN諸国は、経済、金融をバックにした中国に対し、結局、領土問題で何も言えなくなってしまう恐れも出てきましょう。彼らはそこまで考えているのかどうか。


 上の写真は、先週2日、晴れた日の午後、上野公園に行き、撮った満開の桜並木の風景としだれ桜を前にした小生。