小生が代表理事を務める一般社団法人 日本・中国・ASEAN経済文化研究会がタイの元首相タクシン氏を日本に招請し、8月23日講演会を開催しました。これは、研究会の会長を務める水野清元国務大臣のつながりによるものですが、これまで日中ASEANなどと銘打ちながら、中国との関係ばかりであったわが団体からすると画期的なことで、講演会の開催準備を含めて小生にとっても貴重な経験をさせてもらいました。
なんせ、元首相はタイでは汚職で逮捕令状が出ている”犯罪人”です。中国の例を引くまでもなく、権力者の汚職犯罪というのは多分に権力闘争の絡み、政治的な意味合いがあると小生は思っていますが、しかし、日本の入管当局はこういう問題にうるさく、招請しても本当に入国できるものか心配でした。結局、タクシン氏の末妹であるインラック・タイ新政権が日本政府に要請書を出したことで、日本政府も特別許可を与えざるを得なくなりました
講演会の会場も最初は大学の講堂でできないかと模索しました。小生が非常勤講師をしている早稲田大学、研究会理事が奉職する大学などに打診しましたが、夏休み中は電力節減という名目でいずれも拒否。使用料が安くて、しかも格式があるという条件の下、最後に決めたのが神田神保町の学士会館でした。
問題は、タクシン氏はタイ国内なら反対勢力に命を狙われるであろう人物ですから、国外でテロの恐れを否定できず、警備にも気を遣いました。神田警察署に足を運び、警備保障会社とも契約、講演会当日は金属探知機で携帯荷物チェックをしてもらうことにしました。また、タクシン氏が学士会館に入ってどういうコースで歩くかも決め、そのコースの安全性も事前チェックしました。
そんなこんなの事前準備がまあまあ奏効したせいか、講演会当日は順調に推移しました。また、講演会開催は新聞等で報じられたために、参加希望者も予想をはるかに上回り、当事務所にはひっきりに電話やファクスが来るほど。定員は前週末に超えてしまったのに今週に入っても「なんとかならないか」という問い合わせがあり、うれしい悲鳴でした。そういう意味では評判を呼ぶ講演会だったと思っています。
小生は、学士会館入口でタクシン氏を出迎え、3階の控室へ、さらには2階の講演会会場へと同行しましたが、彼は小生の肩など抱いて話し出すなど案外気さくな人でびっくりしました。小生は当日、司会までして2時間立ちっぱなしでしたので、老コツにはこたえ、ぐったりしました。でも、打ち上げ後、帰宅して床に着いたとき、何事もなく大成功だったという満足感で、気分良く眠りに入りました。
2枚の写真の上の方は、タクシン元首相の講演会に集まった聴衆。立ち見も出るほどでした。下の写真は、日中ASEAN経済文化研究会のメンバーがタクシン氏と一緒に撮った一枚。小生は久しぶりにネクタイを締めましたが、タクシン氏は気楽にノーネクタイでした。