つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「小沢は根性あるが、中身はない」

 先週末、「アジア問題懇話会」の講演会で中国経済を取り上げるということでしたので、日比谷のプレスセンターに話を聞きに行きました。その講演会の開会前、たまたま懇話会幹部とソファーで雑談をしていたところに、常連会員である奥野誠亮氏がやってきました。幹部が「先生もこちらでお休みを」といざなったので、奥野氏は小生の前にどっかり。そこで、無言でいるのも愛嬌がないものですから、小生が昨今の政局などについて質問しました。
 奥野誠亮先生は元内務官僚で、衆院議員として法務大臣国土庁長官などを歴任した硬骨の政治家。2002、3年ごろに子息に後継を任せて引退し、今は悠々自適の毎日のようです。大臣のときに、自らの発言で野党から辞任要求されても筋を曲げないことで有名でしたから、元記者である小生にとって、彼が今の政局にどういう感想を持っているのかは、大いに興味のあるところでした。
 「今の民主党政権について、どう思いますか」との質問に、奥野先生は「マニフェストに違反しているのはおかしいね。言った以上、やらなければ」と簡単なコメント。もっと辛辣に菅直人首相の資質に言及したり、その能力を批判したりするのかと思ったら、案外あっさりしたものでした。
 そして、「小沢一郎についてどう思われますか」と聞いたら、「彼は根性がある男だが、中身はないね」と一言。「それは、権力には固執するものの、権力を握ったら何をするかの考えがないということですか」と追い打ちをかけると、「そうだ」。さらに、奥野氏が田中角栄内閣で閣僚をしていたことを覚えていたので、「角さんと比べてどうか」と聞いたところ、「まったく違う。角さんとは比べものにならない」との答えでした。
 まだ矍鑠としており、頭脳も明晰。そこでこの人は今、いったいいくつなのかという点に非常に興味を持ち、自宅に帰って調べたところ、奥野氏はなんと1913年(大正2年)7月生まれ。ですから今年98歳になるのです。この歳でまだ講演会を聞きに来るバイタリティーに敬服します。
 一昨年、小生は聖路加病院の日野原重明理事長をインタビューしたときも、その頭脳明晰ぶりにびっくりしましたが、100歳になろうとする人がこんなにも大勢元気でいることは本当に驚異。戦争の修羅場をくぐりぬけてきた人たちの強靭性を見せつけられた感があります。
 それにしても、国家戦略を構築し、その目標に向かってち密に業務を遂行してきた奥野氏のような戦前の官僚にしてみれば、昨今の政治家の場当たり主義は歯がゆくて仕方がないのではないでしょうか。
 下の写真は、三軒茶屋駅前のキャロットタワー高層レストランから見た東京都心とスカイツリーの風景。前回掲載したものに比べ、望遠でスカイツリーに迫っています。