つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

なんと愚かなドゥテルテ大統領

 フィリピンのドゥテルテ大統領、やはりかなりの愚か者のようです。麻薬撲滅に力を注ぐのは良いのですが、その勢いのあまりオバマ大統領を侮辱するような言辞を吐き、サシの会談をキャンセルさせられてしまいました。南シナ海問題で、かの国が一番頼りにすべき国がどこか、一番恐れるべき国はどこか、といった情勢がまったく読めないようです。
 フィリピンでは麻薬がかなりはびこっていて、これが国や民を駄目にしていることは国民の共通認識。そこで麻薬撲滅に精力を注ぐドゥテルテが多くの支持を得て、大統領に当選したのは分かる気がします。ドゥテルテの出身地ミンダナオ島は特に麻薬漬けになっていたと思います。地元で検事やダバオ市長などを歴任した彼がそれなりの正義感を持って、麻薬撲滅に邁進したのは素晴らしいことです。
 ただ、少なくとも官僚、政治家の経験者ならば、大統領になった以上、もっと国内外情勢すべてを俯瞰的に見てほしいと思うのです。フィリピンにはもう一つ大きな問題があります。南シナ海への中国の覇権行動です。これを黙過すると、同国の海洋進出はかなり制限を受けます。前大統領のアキノはそれを熟知していたし、ドゥテルテも引き継ぐものと思っていましたが、彼はそういう国際環境が十分に理解できていないようです。
 100%譲って国内治安重視でもいいのですが、国の安全保障で一番頼るべき米国に不快感を与えることはありません。麻薬撲滅で多少の過剰抑圧行動があり、警官による殺人があったにしても、米国には「人権を守って、適切に治安維持に努めています」などと公式論を言っておけば済む話です。国内治安行動はその国なりの事情があるので、他国は所詮形式的に意見を言うだけなのですから。
 中国は今、ルソン島に近いスカボロー礁も埋め立てにかかっているといいます。もし、同岩礁に戦闘機駐留などの基地が造られたら、どれだけフィリピンの国防を損なうか、国の安全保障に責任を持つ大統領なら同然考えるべきこと。それとも、彼の頭は依然地方の検事やダバオ市長のままなのか。彼自身が理解していなのなら、アキノ時代の優秀な官僚がしっかりと安保の重要性を教えるべきです。

 上の写真は、ハバロフスクにある戦後シベリアに抑留された日本人の墓地。空港に行く途中にあるため、かの地を訪れる日本人は必ず立ち寄り、お参りします。