つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

またプーチンのペテンに騙されるのか

 極東ロシアのウラジオストックで、プーチン大統領と安倍首相の首脳会談が開かれました。会談の開催場所の極東大学は、われわれも8月初めのウラジオ旅行で、ある国際関係論の教授を尋ねて訪問したところ。ウラジオの市街地からかなり離れた島の中にあり、規模の大きな大学。われわれも構内を一巡りしたので、首脳会談の光景を見て懐かしさを覚えました。
 それはともかく、プーチンという男はなかなかしたたかですね。またもや北方4島領土問題で話し合う素振りなど見せて、安倍首相をその気にさせて経済協力の約束を取り付けました。プーチンは国内向けのインタビューでは、領土問題で取引にしないと明言しているのに、日本に対してはなんだかいつも思わせぶりなのです。
 まあ、その気にさせられた安倍首相や日本サイドも困ったものですが、首相にしてもプーチンと会って、経済協力しながら領土問題の話は一切なしということでは日本国内向けにメンツが立たません。というわけで、日本側も領土問題でいかにも話が進んでいるように見せるのは、進展なしが分かっていながら、やはり日本国内世論向けのポーズなのかも知れません。
 このブログで前にも触れましたが、そもそも4島だけを要求して丸々全部くれというのは虫が良すぎます。交渉というのは多めに要求して妥協点を探るのが筋ですから、4島全部返したのではロシア側のメンツが立ちません。ですから、最初からボタンの掛け違い、なぜ千島列島全島を要求しなかったのかです。
 明治時代初めに千島・樺太交換条約を締結している以上、日本は千島全島に条約上の潜在権利を持っているのです。そこから交渉すれば、4島の返還はなったかも知れません。でも、4島だけの要求というスタートラインから見れば、ロシアが最大限譲って半分割(択捉島の3分の1まで)、でも今の情勢では最悪の歯舞色丹だけでしょう。
 領土問題の決着は力を背景にしたものであるという観点に立つなら、いい加減に4島全部という幻想は捨てた方がいい。国際政治的、経済環境的に見れば、ロシアは今、苦境にあるのですから、プーチンが独裁的権力を持っているこのときに交渉すれば、4島全部でないにしても、より譲歩を勝ち取る可能性があるかも知れません。

 上の写真は、ウラジオストックの島にあるロシア極東大学の正面玄関。