つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ソビエト官僚主義が残る極東ロシア

 2日からきのう7日まで極東ロシアのウラジオストックハバロフスクを訪問していました。実は小生、中国には数え切れないほど行っていますが、恥ずかしいことに隣国のロシアに足を踏み入れるのは初めて。どんな国か興味津々でしたが、一言で言って、まだ社会主義官僚主義の抜けない国だなというのが率直な印象でした。
 ウラジオストックはもともと軍港都市で、一般国民は許可なく入れなかったということです。それだけに町のたたずまいがどうも人が住みにくい、あまり生活環境に配慮されていないという感じでした。ただ、ロシアにしては極南にあるため、冬の寒さもほどほどであり、港湾を見下ろす景色も素晴らしいため、開放後は結構移住者も多いらしい。今では人口60万人以上とのことで、高層住宅が数多く建築されていました。
 ウラジオからハバロフスクまでは、いわゆるシベリア鉄道を使いました。この鉄道は、小生もかつてよく乗った中国の鉄道と似ていて広軌道で、2等のコンパートメントも中国の4人掛け「軟座」とそっくり。相対の座席の上にベッドがあり、上下2段で4人が寝られるタイプです。トイレは、排泄物を線路上に垂れ流しにするため、ペダルを押すと、下の線路が見える。このため、駅に停車中や都市部では鍵をかけて入れなくしており、かつての中国列車を思い出しました。
 鉄道は今でも国有であるためか、いたってサービスが悪い。食堂車は値段も高いし、品ぞろいも不十分。服務員の態度も官僚的で、韓国人学生の客が窓のカーテンを開けようとしたら「開けるな」と怒鳴ってしましたし、こちらが呼ばない限り、客に寄り付かない。われわれ仲間4人で食堂車に入っていくと、服務員が客用の食卓で正々堂々と食事をしており、まったく意に介することもなかったのです。このため、食堂車はガラガラ。それでもいいようです。
 かつてのソ連官僚主義はよく耳にしていました。民主主義化したロシアでも、依然サービス方面はソビエト時代と変わらないようです。中国では1990年以降、サービス業は飛躍的に改善された感じがありましたが、ロシアは残念ながらそれがない。この状況では、「シベリア鉄道の旅一週間」などと銘打って、外国人客を大勢招き入れるのは無理かなと感じました。
 ハバロフスクウラジオストックと同規模の人口ですが、さずが極東ロシアの中心地であるため、町のたたずまいが西洋っぽい。市内には車道と歩道をきっちり分けた緑の空間があるし、メーンストリートはフランスやドイツで見かけるような古いビルが並び、しかもオープンテラスのカフェ、レストランもあり、おしゃれな感じ。都市全体が人の生活環境を考えた街づくりをしているように思いました。
 仲間の一人が「日本から行ける一番近いヨーロッパなどと言って売り出せば、結構日本人が来るかも」と言っていましたが、小生も同意できました。でも、装いはヨーロッパ風であるけれど、ここもやはり旧社会主義のロシア。さまざまな官僚主義の名残りを見てしまいました。それはまた別便で。


 上の写真は、ウラジオストックの古い駅舎をバックにした小生と、シベリア鉄道のペダルを押すと、下の線路が見えるトイレ。