つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

今村議員は所詮中途半端なエリート

 今村雅弘なる復興大臣が舌禍事件で辞職したので、またまた国内政治を話題に取り上げます。それにしても「(地震発生が)東北地方で良かった」などとよくも愚かしいことが言えたものです。本人は今でも「モノ言えば唇寒し秋の風」と思っているのかも知れません。事後の会見などを聞いていると、本心は首都圏地震の発生との比較を論じたのであって、決して東北を軽視したものではないなどと強調、発した言葉の”棘”の部分をまったく理解していなかったからです。
 政治家であれば、もう少し言葉に神経を使ってもいいはずです。被害の比較をするにしても、「東北地方で良かった、首都圏で起きていたらもっと甚大な被害が…」などという表現でなく、せめて「東北地方でもあのくらいの被害になったのですから、まして人口稠密な首都圏で起きたら…」程度の表現にしていたら問題なかったと思います。言葉を選択する配慮、デリカシーがなさ過ぎます。
 いや、あるいは言葉だけの問題ではないのかも知れない。この人は佐賀県選出の議員らしいけど、もし大地震が出身県を襲っていたら、「佐賀県で良かった。もし首都圏を襲っていたら」などという比較の言葉が出てくるのか。やはり、東北地方は所詮自分にあまりかかわりのない他人事、極端に言えば、どうでもいいとの認識がどこかにあったからではないかという邪推も出てきてしまいます。
 この人の経歴を見ると、東大法学部を出て旧国鉄に就職し、その後の分割でJR九州に移り、地方の半官半民の職場でエリートコースを驀進していた。優秀で地元の名士であれば当然「議員に」との声がかかるので、その道を歩んできたようです。つまり、あまり頭を下げることをしていない典型的な準公的機関の地方エリートです。
 その点、中央官庁の官僚は国会などでもまれ、内心不快感を持ちながらも、能力がないと思う議員にも頭を下げる経験を持っていますから、居丈高な素振りは見せない。いくつかの官庁を取材した小生の経験からしても、中央官庁で出世する人は、とりわけ議員や新聞記者には如才なく振る舞うのが普通でした。
 ですから、記者会見で「訂正しなさい」だとか「撤回しなさい」だとか激高して、記者とやりやった今村大臣には、正直なところ、びっくりしました。記者は取材対象を怒らせて本音を引き出そうとする小狡い方法も取りますが、今村氏は記者のそんな習性も分からないようです。小生はこの光景を見て「あ、この人は中央の官僚上がりではないな。いや、地方の議員上がりでもない、民間企業で大幹部になった人でもないな」とすぐに察知しました。
 地方の議員や民間企業の幹部は記者を大事にします。それは自分自身や自社の宣伝に利用しようと思っているし、記者を敵に回すと明らかにマイナスになると感じているからです。そこで好奇心旺盛な小生はすぐに今村氏の経歴を調べました。その結果、くだんの経歴を知り、「なるほど」と納得した次第です。
 中途半端なエリートほど扱いに困るものはないようです。安倍首相は今村氏の辞表提出に何のねぎらいの言葉もかけなかったとのこと。実際、「つまらないことで、内閣の足を引っ張ってくれて」と腹わたが煮えくり返っていたか、呆れ果ててものが言えなかったのでしょう。

 上の写真は、群馬県草津温泉の通りの店先にあったお地蔵さま。