つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

小選挙区制ではステーツマンは育たない

 衆議院議員定数小選挙区で6議席比例区で4議席減らされ戦後最低の465議席になるそうな。また、小選挙区の区割りも19都道府県、100の選挙区で大胆に見直す方針が審議会で決まりました。いわゆる1票の格差を2倍未満に抑えたいという憲法上の制約、最高裁判断があっての見直しですが、区割りを変えるのは、政治家にとって死活問題であり、対応に苦慮する人も多いと思います。
 議員定数の削減については、もともと民主党の野田内閣の時に与野党合意で決まったことであり、良い方向です。どう見ても衆議院議員の数は多すぎますね。議員定数は当面、小選挙区300、比例区100の400人くらいでいいのでは。それでも多すぎると思いますので、将来的には衆院では比例区をなくし300人、参院が150−200人にすべきでしょう。
 特に、衆院比例区なるものは感心しません。小選挙区落選組の救済枠になっているほか、ある政党が大勝すると、あんまり当選を期待していないような下位の名簿順位者まで入ってしまうことがあります。名簿登載者がみんな優秀ならいいのですが、ろくに政治の仕組みも知らない、憲法のけの字も知らないような御仁が当選するのは御免被りたい。
 先の選挙では、比例代表で当選した料理研究家なる女性議員は、一番国民の関心が集まっていた経済問題で「アベノミクスとは何か」も分からず、「ノーコメント」を繰り返していたとか。ネット掲示板では「なぜこんなアホが議員に」と書かれていましたが、いったいだれがこんな人を名簿に上げるよう推薦したのか。
 まあ、新人議員に限らず、多数の国会議員を抱える自民党では、古参でも十分な能力を持っていない人が多いようです。ある大臣などは政策の中身が分からず、政府委員の答弁を借りないとやっていけない人も。せめて大臣を引き受けるなら、もっと勉強が必要かと思います。政策への理解力がない人は大臣就任を断るべきです。
 小選挙区の区割りについては、長いキャリアを目指す政治家にとって、そう簡単に変えられてしまうのは耐えられないことです。さまざまな形で選挙民にアプローチし、やっと支持を獲得したとしても、次はその地区ではなく、別の地区に選挙区を割り当てられたら、それまでの地道などぶ板努力が水の泡です。そんなことではたまりません。
 また、選挙民にしても、地元の議員さんの人柄を知り、自らの代弁者になり得ると信頼し、貴重な1票を投じても、次の選挙でもうその議員がおらず、別の議員に投票せざるを得ないのでは虚しいばかりです。区割りの変更はそう軽軽にすべきではないと思います。
 もともと、今の選挙制度小選挙区の1選挙区1議員選出で、しかも最高裁判断で1票の格差などを絶えず考慮しなくてはならないからこうなるのです。かつてのような中選挙区で1選挙区3−5人当選であれば、こんなばかな変化はそうそう起きなかったはずです。
 もう、愚かな発想である1票の格差是正への配慮を止めるか、小選挙区制度を止めるしかない。そうでないと、長いキャリアを持ち、政策通で、国際感覚も豊かなステーツマンは出てこないように思います。

 上の写真は、群馬県草津温泉で見かけたたぬきの像。