つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

東京の衆院議員5人増やして誰が喜ぶのか

 2020年国勢調査を基にすると、衆議院小選挙区都道府県議員割り当て数が変わると、総務省が発表しました。すなわち、地方の議員数が10議席減り、その分、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知の1都4県が計10議席増えるとのこと。東京都に至っては、現行の25議席から30議席と5議席も増になるようです。地方で議員が減れば、地方の声が国政に届きにくくなるので大変困ると思います。逆に東京でそんなに国会議員を増やしてどうするのか。増員しても誰も喜ばないのではないかと、本当に余計な心配をしてしまいます。

 人口が最も少ない鳥取県との「一票の格差」、つまり議員1人を選ぶ人口比を見ると、2倍以上になっている小選挙区が20区あるというのです。愚かな”人権派の弁護士”らがかねて主張しているのは、一票の格差は少なくとも、2倍以下に抑えるべきだとのこと。是正を図るためには都市部の区割りを新たに設定し直しても、10増10減を図らなければならないのです。東京は25→30と5議席アップ、神奈川は18→20と2議席アップ、千葉、埼玉、愛知はそれぞれ1議席増。逆に宮城、新潟、福島、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎がそれぞれ1議席の減になるとのことです。

 日本国は、人口移動は自由ですし、都会の方が仕事があるということで、今でも、人口の都市集中が進む傾向にあることは否めません。で、国勢調査のたびに一票の格差が進み、都市部の議員がますます多くなり、地方は減るばかり。さらに、小選挙区制に固執するなら、都市部の選挙区はますます小さくなって、一つの政令都市、特別区内で、3つも4つも選挙区が分かれてしまう現象が起きてしまいます。その結果、国事を論じるべき国会議員が政令市市長の3分の1,4分の1の狭い選挙区の中で、地元密着型のどぶ板選挙を強いられる状況になるのです。

 小選挙区制は通常自民あるいは公明と立憲民主党など野党との1対1の勝負。つまり、当選か落選か、オールオアナッシングの勝負。であれば、勢い狭い選挙区で有権者を引き付けるには、地元密着の話をする方が分かりやすいし、効果がある。地元民サービスすなわち地元への利益誘導の公約を掲げなければなりません。国家にとって重要であっても一般大衆には身近に感じない安全保障とか、耳に痛い税制改正(多くは課税)の話などとてもできにくい雰囲気でしょう。厳しい世界情勢の中、日本国全体のことを考えなくてはならない国会議員をそんな選挙で選んでいいのでしょうか。

 小生は当ブログで再三この「一票の格差」の問題を取り上げ、その都度ナンセンスだと書いてきました。日本国を隅々まで均衡発展させるためには、今こそ地方への意図的、集中的な利益誘導が必要であり、人口が少ない地方の声こそがもっと国政に反映されて然るべきだと思います。地方の発展を願うなら、人口減少のところは議員を減らすのでなく逆に増やすべきではないですか。都会にはもう十分利益誘導が図られ、居住者は利便性を享受しているのですから、代弁者はもう要らない。むしろ減らした方がいい。この方法が無理なら、せめて米上院議員選のように、議員数は都道府県一律に均等配分されるべきです。

 ついでに書けば、小選挙区制はもう限界です。優秀なステーツマンは育ちません。前述のように選挙区の矮小化によってますますどぶ板になるばかりでなく、区割り見直しで地盤が選挙ごとに変わるし、その時の世の中、特に政界で吹く”風”に左右されやすい。この結果、当選者が安定しないので、候補者は政治家としての資質を向上させるより、その時々の”風”を読むことや党の公認権限を握る幹部の目線ばかり気にして、党務や雑務に集中しません。政治家として磨きをかけるなら、この党務や雑務がぜひ必要なのですが、、。

 中選挙区制であるならば、同じ党の派閥間で切磋琢磨し、政治家はそれぞれの派閥の中で先輩の教えを受けながら、成長することができる。いわゆる”雑巾がけ”ができたのでしょうが、そういう状況にありません。今の自民党の派閥は本来持っていた素晴らしい機能を失っています。であれば、昔の定員4人、5人の中選挙区に戻すべきです。永田町で今、そう主張する議員がいないし、メディアでも、選挙制度改変ムードがないのは実に残念です。

 上の写真は、みなとみらい地区の赤レンガ倉庫近くに咲くアラパンガスとバラ。

https://www.youtube.com/watch?v=3mq1syQHa4o