つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ドラマ「半沢直樹」の”ここがへん”

 TBSドラマ「半沢直樹」は面白かったけど、最終回はちょっと残念な内容、終わり方だったと思います。それは、半沢が出向に行かされる形で終わり、必ずしもハッピーエンドにならなかったということではありません。あの取締役会の様子、どう考えてもおかしくありませんか。
 大和田常務の妻が迂回融資を受けているのは、状況証拠からして明らか。それに対して、頭取は「迂回融資の仲介役になったタミヤ電機社長の証言はあるのか」と聞きますが、これっておかしくないですか。状況証拠が真っ黒であるならば、銀行側自身が真っ先に大和田常務を査問しなければならないわけです。それを半沢一人の”捜査員”にゆだねるというのはちょっと無理があります。
 しかも、大和田常務が妻の会社に迂回融資を指示したとなれば、これって立派な業務上横領行為。行内の問題どころか、刑事事件としても成り立つものです。そんな大問題であるなら、列席した他の取締役が「大問題だ」と驚いて、大和田常務を追及するのが普通ですが、それがないばかりか、逆に事実を指摘した半沢を「お前はやりすぎだ」と言わんばかりに非難するのも滑稽なストーリーです。
 それに、半沢の友人、近藤某が大和田常務の誘いに応じてタミヤ電機社長の証言書類を封印し、その文書を唯一の重要証拠とみなしていた半沢らを落胆させてしまうのですが、これもおかしい。タミヤ電機社長が本当に迂回融資を悔いているなら、何度でもその証言を文書化することに同意するでしょうから、半沢らが再度タミヤ社長に文書作成をお願いすれば済むことです。
 さらに、伊勢島ホテルの件でもへん。経営悪化の事実を特定の支店内で封印し、その上200億円の再融資に応じるなどというのもちょっと考えにくいことです。こんなことって大和田常務の一存でできるものでしょうか。小生は銀行内の融資システムはそれほど詳しいわけではないのですが、常識から判断して、200億円という巨額融資の場合、銀行は総力を挙げてその貸出先企業の経営実情を調べ上げるはずです。
 つまり、貸出先企業に対しては、複数の目でチェックすると思うので、その時点でその企業の何らかの”瑕疵”が浮かび上がるはずです。もし、そういうチェック機能がないとしたら、それは健全な銀行のシステムとは言えないでしょう。特定の銀行幹部の一存で巨額融資が実行されるというのは無理があるように思います。
 半沢が出向になるのはしごく当然だと思います。個人的な恨みを会社の場で晴らすというのはドラマとして見れば、痛快ですが、現実の企業風土の中ではありえないこと。もし、そんなことを実行する人がいれば、それは出向という形で”十倍返し”されてもおかしくないでしょう。
 下の写真は、谷川岳下の一の倉沢出会いから見た反対側の山,白牙門と笠ケ岳のピーク。