つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

地震、飛行機事故…辰年だけに荒れる一年なのか

 いやー、元旦から大地震が起きるとは思いもよりませんでした。例年、日本の元旦は人の動きがなく、自然も日本海側が大雪になる以外大きな変化はなく、静かに過ぎてゆくというのが常識でした。それが能登半島で直下型の地震が起き、エネルギーもマグニチュード7・8とか。日本の建造物は耐震性が高いので、普通地震で死者を出すケースはまれなんですが、テレビニュースを見ると、すでに70人以上の死者が出ているようです。驚きました。と同時に、元日早々に被害に遭われた震源地の皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。

 地震で驚いたのに続いて翌日には,羽田空港日航機と海上保安庁の新潟の震災被害地向け救援機が衝突し、海保機の乗組員は全員死亡、日航機は全焼してしまいました。日航機の乗員乗客は全員無事だったようですが、これも社会ニュースとしてはかなりビッグなものです。さらに3日は北九州市小倉駅前の旧市街が大規模に焼ける火事もありました。なんということか。それぞれ新聞の一面で大きく取り上げられそうな災害、事故、火災が連チャンで起きてしまいました。

 なんでこんなにとよくよく考えたら、今年は辰年でした。「辰」というのは「龍」ですから、架空とはいえもともと暴れる”動物”。この干支の年は必ず大きな事件、事故が発生すると言われていますが、今年は新年幕開けから相次いでしまいました。では、激変は日本だけなのか。世界を俯瞰すると、韓国の野党指導者への傷害事件、イラン革命防衛隊の元司令官の追悼集会での爆弾事件以外三が日で世界を激変させるような大きな事件、事故は起こっていないようです。すでに、ウクライナと中東ガザ地区イスラエル北部で戦闘が継続されているので、これ以上何かあったら大変です。

 でも、よくよく調べていくと、紛争は他にもありました。南米ベネズエラのマドゥーロ大統領が隣国ガイアナのエセキボ地域の領有権を主張し、軍隊を使って石油資源の奪取に出ているもようです。マドゥーロもロシア、中国、キューバなどの指導者同類の左翼系独裁者であり、世界の目がウクライナや中東に向いているのを奇貨として、かねて持っていた野心をむき出しにし、実際行動に出たのでしょう。民意が反映しない独裁政権とは本当に困ったものです。北朝鮮のあの青年指導者を見ても分かる通り、自らの存在をアピールするためにやたらと軍事力を誇示し、他国への軍事行動に出るのが習い性ですから。

 で、今年の世界はどうなるのか。台湾、ロシア、インドネシア、米国などで大統領選挙があって首脳が変わり、政治が動きやすい年であることは間違いありません。日本も9月に自民党の総裁選があるので、首相交代の可能性は大。よく当たることで有名な英国の預言者クレイグ・ハミルトン・パーカーは、ロシアではプーチン大統領が死亡し、女性の大統領が出現すると言っています。また、中国については、11月の米大統領選挙の前に台湾侵攻に乗り出すとも預言しています。

 ロシアの女性大統領とはだれを指すのかは分かりません。まさか、今大統領選への出馬意思を示している独立系の女性ジャーナリスト、エカテリーナ・ドゥンツォワ女史を想定しているのか。彼女は確か、ロシア中央選挙管理委員会から立候補受け付けを拒否されていますので、現時点で立候補は無理。プーチンが死亡したりして政治的に混乱が起きれば可能性がないわけではないでしょうが…。世界中のだれもがウクライナ戦争を終結させるためプーチンがいなくなることが必要だと思っているので、小生もパーカーの預言が当たって欲しいと心底から願っています。

 中国の台湾侵攻の可能性はどうだろうか。小生は、中国の人口構成、経済的な問題、軍事的な劣勢さなどさまざまな理由からあり得ないと思っています。その件については、後日当ブログでじっくり掘り下げて書きたいと思っています。ただ、独裁者は自国の経済が悪化し、人民の支持が得らえれないと分かると、権力維持のため、無理やり外敵を作って冒険主義に走ることは古くから言われている話。習近平がその類いの愚かな指導者ではないと祈るばかりですが…。

 ハミルトン・パーカーはまた、米国で大地震が起こってインフラがズタズタにされる、仮想通貨市場の不安定化が進むとも予言しています。元旦早々の能登半島地震を見ると、米国大地震はあながち考えられないことでもありません。でも、仮想通貨市場については、もともと国家の後ろ盾のない不安定なもので、多くがその価値を信じているから成り立つ仕組み。すでに15年も続いているこのシステムが簡単に壊れるとは思えません。パーカーはどこまで仮想通貨のシステムを理解しているのか。

 上の写真は、昨年末に横浜公園で見た紅葉風景。

倍賞千恵子さんの死生観に考えさせられた

 日本経済新聞の「私の履歴書」というコラムを愛読しています。取り上げられる人は月替わりであり、今月は女優の倍賞千恵子さんでした。小生の好きな女優の一人であるので、特に熱心に読みました。このコラムで本人も強調していますが、私生活でも全然気取らない、自然に生きている様子で、映画の中からもその”個性”が醸し出されています。映画寅さんシリーズでの「さくらさん」もそうでしたが、高倉健と共演した「幸福の黄色いハンカチ」や「遥かなる山の呼び声」での役柄も良かった。何か庶民的な奥さん役をやらせたら、天下一品だと思います。

 でも、今回は倍賞女史の役柄や演技を論じるのでなく、このコラムに書かれた内容に触れます。彼女はコラム最終回の今日、冒頭で「もし政府が75歳上になる人に安楽死の権利が与えると決めたら、どうするか」という死生観に関する深淵なテーマをいきなり投げかけてきました。半分眠気含みで読んだ文章でしたが、これで眠気が吹き飛びました。へー、倍賞さんもこんなことを考えていたのかという驚きと同時に、自分も来年はその年に達するので、なんと答えようかと頭を巡らせました。

 前にも触れたことがありますが、小生は安楽死は基本的に賛成です。どう生きるかという生死については個人の問題であり、最終的にその結論が「死」という選択となっても、それはそれでいいのではないか。例えば、植物人間になった時、小生はチューブにつながれてまで生きたいとは思わない。ですから、内人にはそう告げています。厳密には遺言も必要なのでしょうが…。チューブまで行かなくとも、まだ自らの意識で選択できる場合でも、体力的、気力がもうどうしょうもなく衰え、今後が望めなくなった時に自ら死を選ぶのもありだと小生は思います。

 世界を見ても、オランダやカナダのように安楽死を認めているところがあります。その意味では、人間の自由、尊厳を重んじる先進国では今後、そういう流れになるのではないかと思っています。安楽死を認めようと認めまいと死にたい奴は勝手に死ねばいい、青木ヶ原もあるし、都会、郊外にも”名所”もあるではないかという人もいます。でも、自ら進んで青木ヶ原や自殺の名所に行くのは大変勇気が要りますし、第一その処理に関して他人に大きな迷惑をかけてしまいます。

 その点、安楽死が認められたら、どこか専門のホスピスのような療養所に入って、苦しまずに徐々に死を迎えられます。例えば、そういう薬物を与え続けられればいいのですから。今なら、介護者は自殺ほう助罪に問われますが、法的に保障されているなら、それが可能。以前、姨捨山のことを書きましたが、これは、一定地域における食物上の許容量、フィーディングの問題であり、本人の意思とはかけ離れています。死の選択はあくまで本人の自由意思に基づくことが絶対必要です。

 今日のコラムで、倍賞さんはまた、死んだら自然に帰りたい、ご亭主さんに花車で海まで運んでもらい、遺灰を海に流してもらいたいとも書いています。これでこの女優さんがますます好きになってしまいました。死後の話も以前当ブログで書きましたが、動物は本来自然に帰るのがスジ、陶磁器に入った遺骨などを残すべきではないのです。まして子供や孫のいない人にとって後々だれが拝んでくれるのか。倍賞さんも小生と同じように子供がいないご夫婦のようなので、そういう考えに至ったのかも知れません。

 でも、気力、体力があるうちは安楽死も海洋散骨もまだ遠い話。倍賞さんのように多額の収入を得ている人は健康である限り、その選択の必要はない。斯くいう小生もつたない年金、アルバイト収入暮らしですが、まだ健康。次の原稿はどう書こうか、次の旅行先をどこにしようかなどと考えているうちは、そういう思考には至りません。当面、来年ものんべんだらりと生きていこうと思っています。

 上の写真は、自宅近くの野毛山公園で見た寒椿。下の方は港の見える丘公園で咲いている冬薔薇(ふゆそうび)。寒い中で見事な花を咲かせるとは健気です。小生も斯くありたいのですが、やはり暖房器に当たってぬくぬくと生活しています。

経済苦境でも、再建策より毛沢東生誕130年祭か

 中国が今、デフレスパイラルに陥っていることはいろいろなメディアが報じているので、すでに周知の事実でしょう。これまで造ればもうかるということで、何やら建築ラッシュ、建設バブルになってしまい、14億人人口の2倍も3倍もの住宅を造ってしまったのです。それでも不動産値上がりへの期待感は収まらず、金持ちは2軒、3軒と住宅を買っていたので、総体的な需要は止みませんでした。でも、習近平国家主席が「住宅は住むものであって、投機に対象にすべきではない」と厳しく”勅令”を発したことから、2軒、3軒目の住宅は買いにくくなり、結果、だぶついた供給数は捌き切れなくなりました。

 中国の不動産、住宅建築関連の産業はGDPに対し約3割の貢献度があるといいます。ですから、不動産バブルが弾けると、鉄筋鉄骨、セメント、内装、家具などの住宅関連産業は軒並み低迷、それに関わってきた労働者は失業の憂き目に遭いました。それだけでなく、香港、上海、深圳に上場していた不動産関連企業の株価が下落、何十兆元という時価総額が吹き飛んでしまいました。失業しないまでも給与の減額があったり、遅配があったりしては、労働者もたまったものではない。消費意欲は衰えて第3次産業全体までに影響を与えています。

 中国経済のまずさは不動産業だけにとどまらない。習主席はIT産業を目の敵にしています。それは3年ほど前、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長が中央政府の経済システムに対する過度な介入に批判的な発言をしたため、中央指導部はこれに激怒、アリババ系の金融企業「アント」の香港、上海市場上場を止めさせる措置を取りました。これ以降、IT企業への監視が厳しくなり、馬会長は中国国内にいられなくなり、2年ほど世界を転々としています。

 中央当局の締め付けはIT産業に加えて、家庭教師、学習塾、補習校などの教育産業、子供向けのゲーム機などの業界に対しても及んだため、第3次産業全体が衰退しました。つい最近(12月下旬)でも、子供がゲーム機で遊ぶ時間は何時間以内などと当局が細かな設定をしたため、ゲーム機を扱うテンセント(騰訊)などアリババと並ぶIT企業の香港上場株価が軒並みダウンしてしまいました。不動産不況に加えて、IT産業いじめが加わり、さらには国際政治的に西側との不調が続くことで、投資は減り、貿易も縮小気味です。これでは中国経済はますます細るばかりです。

 そういうこの時期、中国は12月26日の毛沢東主席生誕130年を記念して北京で集会を開き、習主席は「台湾統一は必ず実現する。いかなる方法であれ、台湾を祖国から分裂させることは断固拒否する」などと発言したそうな。今さら毛礼賛とは時代錯誤もはなはだしいし、第一、経済ファンダメンタルズへの現状認識がなさ過ぎです。この時期に、経済の再建策、景気の浮揚策を打ち出すより、台湾威圧の掛け声を発することの方がそれほど大事なのか。国民の多くを納得させる行動とはとても思えない。

 中国には多くの台湾企業が進出しています。特に、大陸出身(外省人)がオーナーを務める鴻海企業(富士康集団)やTSMC(台湾積体電路製造)も大陸に工場を持つ。台湾威圧の発言はこうした企業やオーナーに圧力を加えることでしょう。習主席はそうしたマイナス効果を真面目に考えたことがあるのだろうか。このブログでもかつて触れましたが、中国では経済的に苦境に陥ると、政変が起きやすい。つまり、経済の苦境は自らの政治生命に関わることなのですが、習氏はそこまで深慮しているのでありましょうか。

 上の写真は、香港・パンダホテルのロビー飾り付け。毛沢東生誕祭よりクリスマスの方が楽しい。

年末にいつも思う、「今年一年何したか」と

 毎年年末になると、いつもしみじみ思うことですが、「今年一年、何をしたのだろう。自分は充実して生きたのだろうか」と。今作成中の2024年年賀状の中に「今年、後期高齢者の仲間入りします」と書きました。ああ、もうそんな歳か、気力、体力がなくなってくるのもむべなるかな、自然の理(ことわり)かなと思ったりします。でもその半面、いや、まだまだ小生にはやり残したことがある、そんな簡単にこの世とおさらばするわけにはいかないという強気も頭をもたげてきます。

 今年一年何をしたかの中で、反省しなくてはならないのが、時代小説の3作目を世に出せなかったこと。もちろん、書いてはいます。でも、筆力不足で出版社側が応じてくれないのです。3作目はエロが強く入った作品で、自分でも忸怩たる(?)思いで書いた部分がありましたが、出版社側は「時代小説でエロははやらない。エロを書くなら、現代小説で」というのです。小生は現代を背景にした小説を書く気はないので、結局あきらめざるを得ないようです。

 やはり、時代小説は、藤沢周平のような人間の心のひだ、琴線に触れるような人情ものがいいのでしょうか。日経新聞掲載の出版社の宣伝広告などを見ていても、時代小説は涙腺を刺激するような作品が主に出版され、売れているようです。確かに、エロでは「琴線」には触れない「金銭」には触れるかも知れませんが…。ということで、エロを主体にしないで、エロのストーリーながら琴線に触れる要素を持ち込んだ作品にしようと努力しています。ただ、歳を重ねると激しい男女愛の感情とは無縁となり、そういう筆致も生まれません。

 今年一年の話に戻します。主にやったことと言えば、旅行が大きいかな。ともかくコロナの最中はどこにも行けなかったので、今年は旅行をしまくりました。3月に沖縄、与那国島に行って日本の最西端を制覇。そして秋には利尻、礼文島稚内に行って最北端も。そのほか、北陸、東北、四国、九州で行ってなかった名所旧跡を走破しました。久しぶりに山登りも。海外旅行は今月の香港だけです。これは香港上海銀行の口座閉鎖という目的があったためで、観光旅行ではないのですが…。

 海外旅行も行きたいのですが、今は昔の1ドル=110-120円時代と比べて円安であるし、世界各地で戦争があるしで、どうも楽しく行く気分にはなれない。誰かが戦争をしている最中に、その隣で遊びまくってていいのかと、ついつい思ってしまうのです。それから、歳を取ると、エコノミークラスで10数時間も航空機の機内に閉じ込められる苦痛に耐えられるのか、をどうしても考えてしまう。世界にまだ見たいところは数多くあるのですが…。「机でアル原(アルバイト原稿)書きながら、夢は世界を駆け巡る」という松尾芭蕉の心境ですか。

 コロナが明けたのですから、本当はもっと山登りもしたかった。ここでも紹介したけど、秋晴れの中での福島県吾妻山系の一切経山登山は本当に楽しかったし、気分爽快でした。簡単な山登りと温泉、これも老人にとっては最高の組み合わせ。来年は最低でも3回くらい行きたいですね。でも最高の思いはやはりまたまた時代小説を世に出すことですか…。後期高齢にならんとしても欲望は尽きません。

 上の写真は、JR池袋駅西口前・芸術劇場付近のイルミネーション。香港時代の仲間との忘年会があったので、久しぶりに池袋を訪ねました。

検察が派閥裏金問題を追及するのは遺恨?!

 東京地検が裏金問題で自民党安倍派、二階派の事務所を家宅捜索しました。事実上、強制捜査に踏み切るぞというシグナルだと思います。小生は今日、ある忘年会に出席しましたが、この問題が話題になりました。なんで今、自民党、しかも派閥を狙い撃ちにするのか。さまざまな議論が交わされましたが、小生は、理由は2つあると見ています。一つは8年間政権を担ってきた安倍氏がその力に任せて検察機構にまで手を突っ込んだこと。さらには安倍派の派閥の大きさがある意味権力の壟断を生んだことが危険視され、何らかの力が動いたのかも知れない。いわゆる”神の見えざる手”が働いたということです。

 8年間も政権を担当すれば、驕りは生まれます。英国学者ジョン・アクトンじゃないが「権力は腐敗する」。殊の外、安倍氏本人はそういう雰囲気を見せなかったけど、やはり長期政権での権力集中、そしてなにがしかの過剰な権力壟断があったのだと思います。その一つの例は、安倍氏が検察内の人事に手を突っ込んだこと。日本の役所というのは本来、その役所の官僚が切磋琢磨して能力、技量を競い合い、そして一人去り、2人去りして優秀な人が残り、そのトップに就くのが習いです。

 官僚同士は仲間の能力、人格を評価し、「あの人が将来この役所を担うのは当然だ」と思うことで諦めが生まれ、人事が進み、ヒエラルキーが出来上がるのです。でも、内閣人事局という組織ができ、時の政権、つまり政治家がすべての役所の人事に介入し始めたのです。ということは何を意味するか。政治家が介入することで旧来の役所の人事システムが壊れてしまったのです。役人にとって最大の関心事は人事。そこに手を突っ込まれるのは面白くないし、壟断する政治家を恨みます。

 で、安倍政権はどういう突っ込み方をしたのか。役所内で暗黙の了解で決まっていた法務省内人事に介入して、自らに都合の良い人をその地位に就けたのです。具体的に名前は挙げませんが、推し込まれてなった方はのちに、記者とかけマージャンをやったことを暴露され、大恥をかきました。このタレコミも恐らく役所内から出たものでしょう。政治家に乗せられ、ヒエラルキーを無視して勝手に地位に就いた同人が恨みを買った結果だと思われます。

 役所は、この”異例人事”を強行した安倍政権への恨みも消し去れなかった。安倍氏が政権を離れても最大派閥があるうちは手が出せなかったが、安倍氏が亡くなり、安倍派が決定的な領袖を失ったので、それを奇貨として報復に出たものと思われます。現在の安倍派は複数の幹部が並立して、どんぐりの背比べ状態。つまり、決定的な力を持つ後継者がいないので、検察も着手しやすかったのでしょう。

 もう一つの”神の手”の話。かつて田中角栄首相は「派閥は大きくなりすぎてもダメ」、安倍氏も「100人を超えるのはまずい」と言っていたそうな。その言の根拠は分かりませんが、確かに、1980年代の田中派、その後継の竹下派も国会議員が100人以上いたことがあったのです。その後に何があったかというと、角栄氏はロッキード事件で逮捕され、竹下登氏もリクルート事件に巻き込まれました。大人数の派閥で権力を壟断すると、不思議なことに必ず大きな事件が起きるのです。現在、安倍派は100人近い数を誇っているので、やはりという感じです。

 「ロッキード」は米国での議会証言から始まった事件、「リクルート」の発端はメディアの調査報道から出てきた話。今回は、神戸学院大学教授が刑事告発して検察が着手した事件。共通性はないのです。でも、大きな派閥の権力集団ができて、神の手が働いたことは間違いない。経済分野では、有名なアダム・スミスの「国富論」の中で「神の見えざる手」という言い方がされたけど、政治の世界にもそういうものがあるのでしょうか。

 上の写真は、香港に行く途中、静岡県上空の機内から見えた富士山。下の方は、リムジンバスで成田空港からの帰りに横浜ベイブリッジ付近で見た富士山。

1円円高なら大谷のもらう日本円は7億円ダウン

 今日朝、ドジャーズに入団した大谷翔平の記者会見を見ていました。そこでしみじみ感じたのは、この子はなんと完璧な人間なんだろうということ。世の中に無謬性なる人物がいるとしたら彼が一番近いのではないかと思ってしまいました。でも、完璧すぎるだけに、心を許せる友人ってできるのかな、愛する女性が現れるのかなーと心配してしまいます。こんな相手が完璧すぎると、友人も恋人もハメを外せないし、馬鹿なことはできない。ですから大谷のそばにいるだけで疲れ切ってしまうのではないかと心配してしまうのです。

 それはともかく、大谷がドジャーズを選んだのはごく自然なことだと思います。契約金は10年で7億ドルらしいけど、彼はお金で判断するような人間じゃないでしょう。結局最終的に選択の決め手となったのは、エンゼルス時代の環境をあまり変えたくない。ロサンゼルスは温暖でいいところですから。その場所でエンゼルスよりは強いチームという点を考えたのだと思います。環境を変えたくないというのはもちろん腕の手術をした主治医の先生のことも考慮に入れたのでしょう。この主治医はドジャーズのチームドクターだそうで、その球団に入るのは彼にとって願ってもないことです。

 余談ですが、日本の新聞では契約金は1015億円と書かれました。これは、7億ドルを1ドル当たり145円で計算されているんですね。契約当時は1ドル150円くらいだったので本当は1050億円くらいになっていたんでしょうね。でも、ここのところ円高が進み、140円に近づいています。140円で計算すれば980億円です。で、小生は何が言いたいのかと言えば、高額の米ドルになると、為替が1円動いただけでもらえる日本円に数億円という大きな違いが出るという点です。

 なんと為替が1円円安になれば7億円アップ、1円円高になれば7億円ダウンということなんですね。額が多くなると、たった1円、為替が動いただけで数億円の差が出るなんて驚きです。ちょっと次元が違いますが、小生、先週、香港に行って1万5000米ドルの定期預金を崩し、日本円でもらいました。当時1ドル150円くらいでしたから、これだけで225万円になります。で、小生が銀行に行った翌々日、為替が動いて円高に向かいました。米連邦準備制度理事会FRB)のウォラー理事とやらが今後の金融引き締めを示唆したことが理由だとか。

 そこから円高傾向になり、今日15日の時点では1ドル141円余です。もし小生の香港行きが1週間延びて今週になり、為替が140円となっていたら、得る日本円は210万円。これだけで15万円の開きがあります。大谷の数億円の差には及びもつきませんが、小生のような小市民にとっては15万円の差でも大きいし、嬉しい。という意味では、小生の香港行きは誠に時宜を得ていたと自画自賛しています。

 で、今後の為替はどうなるか。本日付の日経新聞によれば、パウエルFRB議長は「今後、インフレ抑制のための利上げはしない」と強調しました。金利はむしろ引き下げの方向に向かうことは間違いなく、となると、米ドル高円安は解消し、円は値上がりしていくことになりましょう。あるアナリストによれば、すぐに130円台にはなるのは間違いないと指摘しています。1ドル130円なら、大谷の7億ドルも910億円になってしまいます。

 大谷の話から為替の話に移してしまい申し訳ありません。大谷はドジャーズに対し、すぐに7億ドルは要らない、当面、日本円で年間2億円程度をもらって生活し、残りの金は球団を離れた後に後払いでもらうと宣言しているそうな。つまり、一気にドジャーズに負担をかければ、他の優秀な選手を確保する資金に事欠いてしまうので、球団側に配慮した対応です。その点でも、大谷という男は気配りができる男です。確かに、今、7億ドルもらっても、野球一筋の彼には遣い道はないでしょう。後払いは正解かも知れません。

 上の写真はタイに住む友人の愛犬。大谷翔平の愛犬「デコピン」も可愛いがこちらの2匹も可愛い。

裏金無頓着は、安倍派の驕りがあったのかも

 昔、小生がいた企業では、職場単位ごとにいわゆるプール金というのがありました。職場単位で宴会、一泊旅行した際に多めに徴収してその剰余金をプールしたり、定期的に会費を取ったりしたケースも。何を言いたいのかと言えば、こういうプール金というのはある意味職場の円滑な会計処理を図るために必要であること。まあ、正直、何ら公金をくすねているわけではないので、薄暗い部分は何もないのですが、裏金と言えば裏金という言い方が正しいのかも知れません。

 どの組織にも組織内の円滑化を図るためにプール金、裏金はあるでしょう。割り勘で宴会などをする場合、1円レベルの細かいところまで割れないので、このプール金を遣うことがあり、非常に便利です。かつてどこぞの警察署で国庫に納めるべき金を裏金プールしていたこともあったように記憶していますが、それは公的機関の話。少なくともプライベート企業で公金をくすねることはなく、起こしたくとも起こしようがありません。

 今、永田町で問題になっているのは、派閥のパーティーで所属議員がパーティー券を買ってもらい集めた金のノルマ分を派閥に収めた後、余剰分を各議員あるいは秘書が手元に置いて、領収証なしで自由に遣っていたことです。パーティー券の販売というのは、明らかに派閥や議員個々人を支持する団体、企業、個人に行われるもので、厳密に言えば公金をくすねるものではない。という意味で、議員や秘書は余剰分を自分のものにすることに犯罪性どころか、大きな疑問も持っていなかったと思われます。

 団体にしろ企業にしろ、議員に献金する行為は、何らかの便宜供与を期待していることは間違いなく、そこで東京地検は最初、議員の裏金を贈収賄事件として調べたと思います。ただ、贈る側からすれば、献金の目的は少なくとも自分たちが望まない方向での政策を出してほしくないというだけの消極的な意味合いのものが多く、必ずしも自分が望む方向の政策を積極的に推進してほしいということではないでしょう。その点では、贈収賄事件としての立件はしにくいと思います。

 そこで地検も贈収賄事件でなく、議員側が得た金を帳簿に記載していなかったという政治資金規正法でしか立件できないようです。ただ、その額が数千万円になると、単に掲載ミスでは済まされず、2,3年前に自民党薗浦健太郎議員がこの罪で立件され、議員辞職に追い込またように不正の”積極性”を問われ、議員たる公職の立場を失うことさえあり得ます。閣僚を辞めるとか、党のポストを退くという程度では済みません。公民権の停止で、選挙に出られなくなるのです。そこで、多額の裏金を集めていた安倍派幹部の連中は今、戦々恐々としているのでしょう。

 小生が解せないなと思うことは、薗浦議員の一件があったのにもかかわらず、安倍派の幹部議員たちがなぜ相変わらず闇の収入に無頓着だったかという点。もちろん領収証なしに遣える金というのは大変魅力的であり、そういう金を持ちたい誘惑にかられることは分からんでもないのですが、不用心すぎます。愚推するに、安倍派の幹部は、安倍晋三氏亡き後の今でも権力の中枢にいて自分たちが岸田政権を支えている、牛耳っているという驕りがあり、だから我々に地検の捜査など入るわけはないと高を括っていたのかも知れません。

 パーティー券の購入を含めて議員(政党支部)への寄付金については、企業は税務申告の際、その額を免税項目に記載することができます。つまり、その分、企業は収益を減らすことができるので、厳密に言えば、本来払うべき税額を払っていないということになります。一方、議員側はパーティー券収入の余剰分を闇化し、収支報告書に記載しないのであれば、「出」と「入り」のアンバランスが起こる。税体系に大きな影響を与えることでしょう。という視点で見ると、公金を扱い、権力を掌握する国会議員は、やはり襟を正し、金の出入りに細かく神経を使わないといけないと思います。

 上の写真は、久しぶりに見た香港の風景。ビクトリアハーバーでスターフェリーから見た香港島ワンチャイ方面、そしてパンダホテルでのクリスマス装飾品。パンダの表情が殊の外可愛い。